会場のお台場青海地区P区画は立地がいい。ぼくが使ったりんかい線/東京テレポート駅から10分程度歩けば着く。会場に向かう途中にはガンダムもいる。イベントは再入場可だから、踊り疲れたら近くの『お台場 ダイバーシティ東京 プラザ』で少し休憩して、また戻ってこれる。もちろん会場内にも休憩スペースがあるし、屋台が出ている。フードも美味しかった。会場の設計はシンプルなので、入って10分くらい歩けば、全体を把握できる。トイレも十分な数が揃っていたし、言うことない。
肝心のイベント内容は素晴らしく、新進気鋭からベテランまで、一貫した思想でチョイスされたラインナップを終始堪能した。非EDM系DJ主体の野外フェスで、これだけ満足度の高いイベントを実施できたのは凄いことなのでは?CIRCUS Tokyoのイベントなだけあって、音が超良いし(3つのステージが近いから音が若干重なるのはご愛嬌)。そんな感じで、各アーティストのパフォーマンスにあれこれ思いながら過ごした『CIRCUS Tokyo 10th anniversary- supported by Kleiner Feigling』はぜひ定期的に実施してほしいと心から感じるイベントだった。
DJ SeinfeldのDJはQrionが十分に会場を温めたあと、バトンタッチされる形でスタートした。ここで少しDJ Seinfeld について簡単に説明しておく。Avicii、Swedish House Mafia、Alesso といったスター EDM プロデューサーを輩出する国、スウェーデン出身のDJ Seinfeldは、ローファイ・ハウスの旗手としてシーンに登場してきたプロデューサーだ。ローファイ・ハウスは2010年代半ば頃にSoundCloudやYouTube をはじめとしたSNSで広がりをみせたジャンルだ。DJ Seinfeldはその潮流について「初期のハウスやテクノのレコードを聴いて、美しいと感じた何かを示すためのサウンド」という旨の発言をしているが、そこで言われているとおり、ゴツゴツしたローファイな音色と儚さを宿したハウス・ミュージックを特徴としている。DJ Seinfeldは〈Ninja Tune〉から2021年にリリースした『Mirrors』では、ローファイ・ハウスのエッセンスを微かに残しながら、そこから巣立っていくような形で、バラエティに富んだベース・ミュージックを展開してみせた。当時、「UKガラージのリヴァイヴァルに興味がある」と言っていた通り、UKガラージからの影響を感じさせる楽曲もあったし、ダウンテンポ、イタロなどの要素もあり、それらがセンスよくキャッチーな形でまとまっていた。
今回のDJは、そういったバラエティ豊かなダンス・ミュージックが聴けたというよりは、どちらかといえばハウス・プロデューサーとしてのDJ Seinfeld が前面に出ていたように思える。ハウスの奥深い世界の一部をオーディエンスに提示するような締まった構成だったのではないだろうか。EDM的な豪奢なサウンドに近似したメインストリーム寄りのハウスもあれば、ゴリゴリのアシッド・ハウスや漆黒のディープ・ハウス、パーティー感満載のラテンハウスもあり、ハウスというワードの向こう側に広がる思想を、ダンスという身体的快楽を通じて啓蒙された気分になった。そんなことを頭の片隅に感じながら踊っていたら、突然Fred again.. x Skepta x PlaqueBoyMax「Victory Lap」(ハウスっぽくリミックスされていた)が投下され、オーディエンスは爆上がり。そのあといくつかの曲を挟んで、Corona「The Rhythm of the Night」をスピンしたのも個人的には好印象だった。こんなところでユーロダンスの大ヒット曲に出会えると思わなかった。終盤にはストレートなEDMをかけてた気がするから、終盤付近の時間帯はあまりハウスにこだわっていなかったかもしれない。そして最後に2023年のサマーアンセムであるDJ Seinfeld& Confidence Man「Now U Do」で大団円という感じで、終始盛り上がったステージになった。途中で雨が降ることもあったけど、それすら味方につけるような形で、至高のハウス・ミュージックをみんなニコニコしながら楽しんでいた。ぼくは見かけなかったけど、Qrionも会場で踊っていたらしい。いい話だ。CIRCUS Tokyo、10周年おめでとうございます。
Text by 八木皓平
肝心のイベント内容は素晴らしく、新進気鋭からベテランまで、一貫した思想でチョイスされたラインナップを終始堪能した。非EDM系DJ主体の野外フェスで、これだけ満足度の高いイベントを実施できたのは凄いことなのでは?CIRCUS Tokyoのイベントなだけあって、音が超良いし(3つのステージが近いから音が若干重なるのはご愛嬌)。そんな感じで、各アーティストのパフォーマンスにあれこれ思いながら過ごした『CIRCUS Tokyo 10th anniversary- supported by Kleiner Feigling』はぜひ定期的に実施してほしいと心から感じるイベントだった。
DJ SeinfeldのDJはQrionが十分に会場を温めたあと、バトンタッチされる形でスタートした。ここで少しDJ Seinfeld について簡単に説明しておく。Avicii、Swedish House Mafia、Alesso といったスター EDM プロデューサーを輩出する国、スウェーデン出身のDJ Seinfeldは、ローファイ・ハウスの旗手としてシーンに登場してきたプロデューサーだ。ローファイ・ハウスは2010年代半ば頃にSoundCloudやYouTube をはじめとしたSNSで広がりをみせたジャンルだ。DJ Seinfeldはその潮流について「初期のハウスやテクノのレコードを聴いて、美しいと感じた何かを示すためのサウンド」という旨の発言をしているが、そこで言われているとおり、ゴツゴツしたローファイな音色と儚さを宿したハウス・ミュージックを特徴としている。DJ Seinfeldは〈Ninja Tune〉から2021年にリリースした『Mirrors』では、ローファイ・ハウスのエッセンスを微かに残しながら、そこから巣立っていくような形で、バラエティに富んだベース・ミュージックを展開してみせた。当時、「UKガラージのリヴァイヴァルに興味がある」と言っていた通り、UKガラージからの影響を感じさせる楽曲もあったし、ダウンテンポ、イタロなどの要素もあり、それらがセンスよくキャッチーな形でまとまっていた。
今回のDJは、そういったバラエティ豊かなダンス・ミュージックが聴けたというよりは、どちらかといえばハウス・プロデューサーとしてのDJ Seinfeld が前面に出ていたように思える。ハウスの奥深い世界の一部をオーディエンスに提示するような締まった構成だったのではないだろうか。EDM的な豪奢なサウンドに近似したメインストリーム寄りのハウスもあれば、ゴリゴリのアシッド・ハウスや漆黒のディープ・ハウス、パーティー感満載のラテンハウスもあり、ハウスというワードの向こう側に広がる思想を、ダンスという身体的快楽を通じて啓蒙された気分になった。そんなことを頭の片隅に感じながら踊っていたら、突然Fred again.. x Skepta x PlaqueBoyMax「Victory Lap」(ハウスっぽくリミックスされていた)が投下され、オーディエンスは爆上がり。そのあといくつかの曲を挟んで、Corona「The Rhythm of the Night」をスピンしたのも個人的には好印象だった。こんなところでユーロダンスの大ヒット曲に出会えると思わなかった。終盤にはストレートなEDMをかけてた気がするから、終盤付近の時間帯はあまりハウスにこだわっていなかったかもしれない。そして最後に2023年のサマーアンセムであるDJ Seinfeld& Confidence Man「Now U Do」で大団円という感じで、終始盛り上がったステージになった。途中で雨が降ることもあったけど、それすら味方につけるような形で、至高のハウス・ミュージックをみんなニコニコしながら楽しんでいた。ぼくは見かけなかったけど、Qrionも会場で踊っていたらしい。いい話だ。CIRCUS Tokyo、10周年おめでとうございます。
Text by 八木皓平