2021年の音楽シーンで最もインパクトのあった出来事として、歴史名盤たちの再発があげられるだろう。
初出し音源や豪華なパッケージなど、ファンであればあるほど狂喜乱舞のアイテムばかり！

アーティストの実験精神やユーモア、楽曲の持つパワフルさ。アーティストの魅力や作品のコンセプトをより明確に伝えてくれる優れたミュージックビデオが2021年も数多く登場！

　全くお世辞ではなく近年のBeatinkのリリース作品が以前にも増して素晴らしい。22年で13年目に入る僕のラジオ番組「TOKYO MOON」（InterFM897/Worldwide FM）では毎週のようにリリース作をオンエアしている。新譜をチェックし、いいなと思うと取り扱い作品なことが多い。レーベルも様々なジャンルで多岐に渡っているので、偏り過ぎないように絞り込むのが悩ましい。良いアーティスト、楽曲が多いのは当然のことながら、“ハッとする”ものが特に多い印象だ。番組ではいかにフレッシュな状態で紹介出来るかも大きなポイントなので聴いた瞬間、曜日や時間も関係なく問い合わせてしまうのだが、いつも素早く対応してくれるのが嬉しい。22年も素晴らしい音楽と出会えますように。




　まずは、近年素晴らしい作品を連発するソウルフルなシンガー・ソングライター／プロデューサー、Jordan Rakeiの新作。プログレッシヴさを追求しながら根っこにある極上グルーヴは変わらず。次に、なんと11年ぶりとなるアルバムをリリースしたDJ Kawasakiくん。生演奏にシフトした今作で聴けるトータルな完成度。とても素晴らしいダンス・ミュージック。コロナ禍にあってリリース／リリパを見事に成功させた彼の行動力にリスペクト。最後に、かつて来日した際のDJプレイ中に「いかにレコードが良いものか」という説法にもかなりの時間を割いたという我らがMoodymann。魂のこもったクラブ・サウンドがクロスオーヴァーするアナログ三枚組の力作。




　今年の一枚といえばまず外せないのがHiatus Kaiyote6年ぶりの新作リリース、しかもBrainfeederから！高純度な魂のグルーヴに涙。そして個人的にはなんといってもマイブライヤー。サブスク解禁、新装版CD発売、ケヴィンがギタマガの表紙を飾ったり、歓喜の年でした。この“loveless”というアルバムが圧倒的に唯一無二で、時代を超えて脳を震わせる「現象」であることを改めて再確認。Little Simzやタイラー・ザ・クリエイター、SAULT等HIP HOP勢の強さも圧巻でしたが、絞るのが困難なので日本からも一枚。D.A.N.の新作は、今クリストファー・ノーラン作品の劇伴を日本のアーティストが担当するとしたら彼らでしょ！という、SFに傾倒しインナートリップを深めた没入感がたまらない。




　何かのリヴァイヴァル・ムーブメントがあったってわけではないと思うが、昔の音楽のスタイルや質感を再現するような音楽をよく見かけたし、楽しく聴いた。ディテールで微妙にアップデートしつつ、新しさをアピールせずに、その参照元のムードも含めた引用の面白さにフォーカスしたような音楽という感じで、シルク・ソニックは言うまでもなく、マカヤ・マクレイヴンやデルヴォン・ラマーまで様々なアーティストの作品からもそんなサウンドを聴いたそんなムードがあったからか、ジャズでもサマラ・ジョイやパスクァーレ・グラッソを楽しく聴いたし、オールドスクールなスタイルのジャズの新譜をあれこれ探して聴いた一年でもあった。だからといって、そこになんらかの同時代性があるのかはわからないけども。




　なんとなくテクノ・ハウスは、前景にいまの音があって、後景にはトランス〜プログレッシヴ・ハウス、UKガラージ、ダンスホール・レゲエと、どこか90年代中頃が見え隠れしていた感じもある2021年。コロナ・モードでアルバムのリリースも多かったダンス・ミュージック。逆にそれまでのリセットと、そこで試されたさまざまな可能性の種が一気に蒔かれた感もある。片方で底値になったニュー・ディスコとディープ・ハウスを掘りつつ、足下を見れば、日本のシーンもDJが増えたし、表現のマナーの違いこそあれ、ダンス・ ミュージックの裾野は2010年代にしぼんで締まったものが確実に広がった感じはやっぱりあってというのを再確認した後半という感じではないでしょうか。そんななかで、新機軸やら抗えない魅力があってという3枚を選びました。




　2021年もビートインクにはお世話になりっぱなし（感謝）。というわけで、自分の仕事に関連したベスト3です。まずは、ライナーノーツを書いたSquidのデビュー作（インタビューもしたのですが、立ち会っておくべきだったと後悔）。今年のUKロックを代表する快作であり、これまでの作品からの進化っぷりにDan Careyの確かな手腕を感じます。Mustafaは「誰？」というところから始まり、Rolling Stone Japanで記事を書くために彼のことを追ううちにすっかりファンに。悲しげな歌い口とストーリーテリングに惹き込まれました。black midiにはele-kingでジョーディ・グリープにインタビューをしましたし（これも立ち会わなかったのを後悔）、MikikiではDos Monosの荘子itと崎山蒼志さんの対談で彼らについて語ってもらうというアツい企画をやりました。作品については言うことなし




　DJなら誰もが知っているLoftクラシックSun palace- Rude Movementを豪華なメンツでRemix。中でもFrançois Kのリミックスは格別。多幸感が溢れ出すシンセサイザーから重なり合って追いかけて来る展開は完璧すぎる。やはりOGはすごいです…。オーストラリアのお気に入りバンドMildlifeのアルバムは、スペーシーかつジャジーなサウンド。特にMemory PalaceはAORな雰囲気もあり僕自身の好みが凝縮。家で聞いても良し、ピークタイムにハプニング的なプレイもできるので重宝してます。Bicepは、10年以上前にブログで紹介したり自分達のEditを公開したりと毎日チェックしていたアーティスト。来日の際は何度か一緒にDJした事もありかなり近いフィールドで活動しているイメージでした。自主レーベルからリリースをしていた彼らが3年前にNinja Tuneから1stアルバムをリリース時は本当に驚きました。今作は更に洗練されたサウンドになっており、アルバムの統一感も素晴らしかった。LIVEも観てみたいです。




　John Farnhamによる'88年バレアリックなシンセ・ポップ／プロト・ハウス“Age Of Reason"のエディット作品。自分的今年のハイライトだったcontactでの渾身主催パーティーAFTER PORKにおいて投下し、最後のボーカルがエモすぎて自らウルっときてしまった1枚です。前作Serpent EPでハマったTodd Modesの最新作、青山ZEROにてDJ出演した際、プレイ中にブース越しにRANA-MUSICAさんより納品され、次の曲で繋げて運命を感じた1枚です。最後は私がマネージャーを務めるDOMICILE TOKYOで取り扱っているブランドBROSKIも手がけるKing Kruleのライヴベスト。早く来日してくれる事を願ってます。BROSKIの新作もそろそろ期待しています。




　自身の嗅覚を信じて毎週入荷される音源達、この業界に入って28年執拗にヴァイナルを売り続けているので昨今のブームで売り上げ増加したのが良いが、プレスの遅延や価格の上昇など今まで感じたことのないネガティブな要素も相まって、それもお客さんと共に考え抜いてレコ屋カルチャーを存続できればといいなと思う昨今です。USHCをベースにしフックと疾走感やビートダウンを多用しながら更に雑多にミクスチャーやスタジアムロックなテイストも確信犯的に取り入れたTurnstile新 作、Into It. Over It.のEvanとYou Blew It!のTannerの新バンドCoupletはベッドルームエモで最高、Sonic Youthの影響直下のヤングガイですがフリージャズやポストパンク、ハードコア等雑多な要素が入り混じり癖になるBlack Country, New Road の作品も印象深いですね。




　“ベストディスクは？”という問いに対して、いつになくスムーズに頭に浮かんだ作品群。Joy Orbison『still slipping vol. 1』はトラックそれぞれ大いにフックがありつつ、ひと続きのミックステープ的な流れで楽しめるベスト・ダンスミュージック。カリブ系のルーツを持つ音楽家Nala Sinephroのデビュー作『Space 1.8』は、アンビエント的な質感と鋭利さを備えたジャズ傑作で、改めて〈Warp〉の懐の深さを実感。そしてMNDSGNがバンド編成で制作した『Rare Pleasure』は、これまでのヒップホップ系のファンのみならず支持を集めてロングセラーに。3作品を俯瞰してみると、店頭のサウンドシステムで鳴らした時に多くの人に共感してもらう事ができ、一方で街の中で、あるいは家で耳を傾けても決して大げさにならず、スッと馴染む作風でもある。そういう塩梅がこの1年にフィットしていたのかもしれません。




　映画館で音楽映画を観る機会が増えたなぁと感じる１年です。特に映画『アメリカン・ユートピア』の感動を引きずっていました。今年No.1です。また、ヒューマン・トラスト・シネマ渋谷で「odessa」による音に包まれる音響体験ができるbeatinkさんの特別なイベントや、音楽ファンがより楽しめるサウンドで映画を楽しめる機会はありがたく「シアター１」にはよく行きました。 お店のことを少し、、12月に１0周年をむかえました。10年前はまだ音楽レンタルが占めたフロア。つい最近は映画レンタルも終了し、時代というものを改めえて実感せずにいられないと思うこの頃ですが、変化に応じながら代官山から何かできればと思いますので、これからも見守っていただければと思います。




　とんでもない2020年を経て2021年に希望を持ってましたが、なんか酷くなった感じで色々制限も増えちゃって萎え倒してましたが年末になってやっといい兆しって感じで2022年はバンバン来日公演などが復活してくれることを望みます！あとは近年言われ続けてきたアナログブーム的なのが爆発しちゃて、プレス納期が倍くらいになって、作る側としても予定立てにくく喰らってますし売る側としても延期延期で振り回されまくり。レコードなんて完全無視されてた暗黒時代もコツコツとレコード業界でやってた人たちが一番割りに合わない感じなんじゃないでしょうか？メンタル的にはストレス多めな感じとなってますが、結局毎週届く新しい音楽に心踊り最高ってなるから、どうでもいいですね！ すいません！ よく聞いた3枚！

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