Materia
Julia Holter
RELEASE: 2026.08.21
LAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Julia Holterの新作『Materia』は、2024年作『Something in the Room She Moves』の世界観を拡張する7曲入りのコンパニオン・アルバムであり、アート・ポップの最前線を更新する作品である。前作の楽曲「Materia」を起点に、その再構築や別ヴァージョン、ツアー間に生まれた新曲、即興演奏などが組み合わされ、音楽的実験性と親密な感情表現が共存する構成となっている。
音響的には、フォークロア的なメロディ感覚と現代的な電子音響、室内楽的アレンジが交差し、ドラムマシンやフレットレスベース、クラリネットなど多彩な編成が有機的に絡み合う。楽曲は固定されたポップソングの枠を超え、時間や構造そのものを揺さぶるような流動性を持ち、即興と作曲の境界を曖昧にしている点も特徴的だ。
また、母性や喪失、社会的不安といった個人的かつ時代的なテーマが、夢のように揺らぐサウンドスケープの中に溶け込んでいる。繊細でありながら大胆な構築美、そして一聴で掴めない複層的な感情のレイヤーによって、『Materia』はJulia Holterのキャリアの中でも最も開かれた、思索的なアート・ポップ作品として成立している。