ODESZA LIVE REPORT / FUJI ROCK FESTIVAL '18

2018.07.30

ODESZA LIVE REPORT / FUJI ROCK FESTIVAL '18

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • LINE
ODESZA LIVE REPORT / FUJI ROCK FESTIVAL '18

終演後、しばらく呆然としてしまった。Twitterのタイムラインを覗いてみると、「異次元の音楽体験」「映画を観ているかのよう」「最初から最後までクライマックス」といった賞賛の声がとめどなく流れてくる。コーチェラ2018でメインステージのトリ前を務めるなど、世界中のフェスで大役を任されてきたのは伊達ではない。ハリソン・ミルスとクレイトン・ナイトによるシアトル発のプロデューサー・デュオ、オデッサは初来日にして圧巻のパフォーマンスを披露してみせた。

開演時間を迎えると、スクリーンに宇宙船の映像が映し出される。女性のモノローグに合わせて、キックが「ズーンッ!」と重たく鳴り響き、煌めくシンセ音が流れ出すと、ステージの両脇からトランペットとトロンボーンの奏者が現れ、勇壮なフレーズを奏でてみせる。そこへハリソンとクレイトンの二人が現れ、機材の脇に設置されたドラムを叩きながら、会場の空気をグイグイ煽っていく。

こうして最新作『A Moment Apart』の感動的なオープニングが再現されたあと、登場したのは6人編成のドラム隊。スネア・ビートが力強く打ち鳴らされると、まさかの展開に圧倒されたのか、ざわめき混じりの歓声が沸き起こる。ここまで5分足らずのパフォーマンスで会場を一気に掌握すると、そこからは彼らの独壇場だった。

以降、曲が切り替わるごとに、スクリーンには星空と大自然、『ブレードランナー』的な未来都市、アニメやアスキーアート、洗練されたフォルムの自動車など、SF大作を渡り歩くように多彩な景色が映し出される。マグマの噴火を背に、大所帯でドラムを叩きまくる光景はこの夜のハイライトだろう。ドリーミーで壮麗なエレクトロ・サウンドと、ロマン溢れる演出を駆使しながら、一編のストーリーを紡ぐようにライヴは展開。オールディーズ“The Loco-Motion”のカヴァーから、“Late Night”などのダンサブルなトラック、叙情的でキャッチーな歌モノ、ポーター・ロビンソン“Divinity”のリミックスまで、起伏に富んだセットリストも物語性を加速させていく。

そのなかで、やはり特筆すべきはドラム隊とホーン奏者、途中から登場したギタリストの存在感だろう。彼らはステージを自在に出入りし、ときに映像とシンクロしながら、オデッサの二人とともに息の合った動きを披露。オーガニックな生演奏と統率のとれたアクションは、素っ気なくなりがちなDJセットに、過剰なまでの人間臭さとダイナミズムをもたらしている。それに単純な話、メロディアスな楽曲に合わせて、太鼓が派手に鳴っていれば否が応でも盛り上がるというものだ。

YouTubeにアップされたフジロックの公式インタビューによると、彼らはライヴを通じて表現したい感情の流れをホワイトボードに書き出し、誰がどのタイミングで登場するかなど、緻密に計算しながらペース配分を組み立てているそうだ。さらに、ヴィジュアル担当や照明、エンジニアなど、大勢のスタッフを交えつつステージを設計しているという。そういった制作背景すら頷けるほど、彼らのエンターテインメントは隙がなかったように思う。ここまでのビッグ・スケールと完璧主義を両立させたアクトは、フジロックの歴史においても限られるのではないか。

おまけに、定評のあるホワイト・ステージの音響もオデッサに味方し、ベースの太さやビートの質感など、ダンス・ミュージックとして最高に気持ちいい音が鳴っていたことも付記しておこう。シネマティックで優美なサウンドは、日本人リスナーの琴線に響かないはずがなく、気づけばホワイト・ステージは異様な盛り上がりに。フィナーレに向けて加速する終盤も素晴らしく、最後に“Sun Models”と“It's Only” の2曲がプレイされると、しばらく拍手が鳴り止むことはなかった。

小熊俊哉

NEWS

2018.09.21
2018.09.20
2018.09.20
2018.09.19
2018.09.18
2018.09.14
2018.09.14
2018.09.14
2018.09.14
2018.09.13