大阪で話題を呼んだ「BEATINK Listening Space」
音楽カルチャーを愛する、すべての人に向けた特別な空間が
11月末までの期間限定で、待望の東京上陸を果たした。
明治神宮・原宿へ場所を移した当会場では、大阪に引き続き「曇りなき正確な音」を極限まで追求するスピーカー・ブランド
BWV による極上のリスニング体験が味わえる。もちろん、BEATINKの取り扱う膨大なカタログ〜新譜レコードをはじめ、レーベル・アーティストの特別なアパレルやグッズも週ごとに展開。コラボレーション企画も続々と予定されている。
大阪開催時に好評だったインタビュー企画も継続し、今回も音楽やカルチャーを横断する多彩なゲストに話を伺っていく...
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Miru Shinoda / 篠田ミル
ヤイエル (yahyel) のメンバーとして国内外での活動をはじめ、多彩なアーティストとの楽曲制作・プロデュースを行う。舞台・映画音楽、ファッションムービーのサウンドデザイン、サウンドアートの領域でも活躍し、2024年には松永拓馬と共にレーベル・プラットフォーム〈ecp〉を設立。他にも「プロテストレイヴ」や「D2021」など、表現活動を通じたアクティビズムを企画・運営。今夏には音楽家の原摩利彦氏と、現地の音源を通したパレスチナ支援プロジェクト「
THEY ARE HERE」も始動し、ガザの人びとから提供された音源をもとに編集・ループして構成された作品『
Reminder』をリリースしている。加えて、原摩利彦氏とは「二度と再現できない音楽体験」をテーマに、南青山BAROOMにて「
A single candle in a darkroom vol.01」を12月に開催予定。
こうした数々のコラボレーションと分野横断的な経験を凝縮し、今年の11月5日には、自身ソロ・デビュー作となる新作EP『Pressure Field』をデジタルでリリース。世代を代表する音楽家にして、シーンを跨いで表現を続けてきた篠田ミル氏の眼差しが刻み込まれている。
instagram :
@mirushinoda
X :
@shinoda_man
新作EP『Pressure Field』:
配信リンク
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新作EP『Pressure Field』を聴いて、BEATINKが扱っている〈WARP〉や〈On-U Sound〉とも通ずる部分があると感じました。篠田ミルさんにとって、インスピレーション源となったアーティストや作品があれば教えてください。
ー BEATINKのもので言うと、プリアル、エイフェックス・ツイン、スクエアプッシャー、オウテカは、すごく影響を受けています。〈On-U Sound〉はスタジオ・テクノロジーとしてのダブについて、もっと勉強しようと思って聴きはじめました。
ディレイとかベースの鳴らし方みたいなところに共感します。他にもKode9は、アーティストとしての活動の仕方を参考にしています。自分も大学院で「サウンド・スタディーズ」という領域を研究して、本を書いたりもしてたのですが、Kode9も元々研究者で、結果的に〈Hyperdub〉というレーベルを立ち上げたりと、ロールモデルとして影響を受けている部分も大きいです。
ミルさん自身も、コロナ禍の「#SaveOurSpace」や、サウンドデモの「プロテストレイヴ」をはじめ、様々な活動をされてますね。Kode9のように、アーティストの音楽作品以外の活動についてもチェックされてますか?
ー そうですね。それこそブライアン・イーノとか、彼のアクティビストとしての側面だったり、プロデュースワークを手広くやる感じとか、本人の音とか音楽に対する思考のあり方や、「Oblique Strategies」みたいなカードを作ったりとかも、めちゃくちゃインスパイアされてますね。
それでは、実際に「BEATINK Listening Space」でピックアップして頂いた作品について伺いたいと思います。
まずは、Aphex Twin『Selected Ambient Works Volume II』について教えてください。
ー これは、好きというか...。言わずと知れた名盤だと思うんですが、名盤として知って、聴いてみて、最初よくわからない系の代表格な気がしていて。僕もそれで、ずっと聴いてるんですけど、絶対途中で寝ちゃうんですよね。何回聴いても途中で寝ちゃうなぁ...と。そういう付き合い方を、かれこれ10何年もしている作品で。
イーノが 80年代前後に「アンビエント」っていう概念を提唱して、 一度、波が落ち着いて眠っていたところを、またKLFとかが出てきて。90年代のレイブカルチャーに対するカウンターとして、アンビエントみたいなものが見出されていったような。その中でも『Selected Ambient Works Volume II』は、変なオジサンの、このトンチキなアンビエントとして、謎があって、この作品についての書籍も出ていたり、とにかく研究しがいがある作品で、折に触れては聴いてますね。
Autechre『Amber』についてはいかがでしょうか?
ー この作品も、同じ匂いを感じるんですけど、オウテカって初期の頃はこの作品に代表されるような、メランコリックだったりセンチメンタルな部分があって、そういうオウテカの側面がすごく好きです。中でも「Yulquen」って曲が特に好きで、7分間ぐらいの曲だったと思うんですが、同じメロディーのループをMIDIか何かでアナログシンセに送って、それをディレイとか色々いじりながら展開して。最先端のオウテカもずっと追っていて好きなんですが、愛しているのはこの頃のオウテカかもしれません。アナログシンセの使い方とかも、自分の作品にも活きてくるというか...頻繁に聴いてます。
エレクトロニックな分野への入り口は、こうしたアンビエント的な作品からですか?
ー 逆ですね。攻撃的な〈WARP〉の作品がめっちゃ好きです。それこそエイフェックス、スクエアプッシャーもオウテカも、彼らの露悪的なぐらいの攻撃性が好きで、すごく影響を受けています。ただ、自分の作品を作る中で、ずっと攻撃的なものを聞いていると飽きてくるというか...。制作していると、時には無限に聴かなきゃいけないので、なんか疲れるなぁと。それで、だんだんと〈WARP〉のアーティストのアンビエントな側面に興味が湧くようになりました。
〈WARP〉の攻撃的なところや、コンセプト上の「ワルガキ感」というか、ちょっとシニカルな感じがあって。それこそOPN (Oneohtrix Point Never) もそうですが、エレクトロニック以外のスクイッドやバトルスにもそういう部分を感じますし、ちょっと人をおちょくってる感じが一貫してあって、そういう姿勢にも影響を受けているように感じます。
個人的な感想にはなりますが、ミルさんの新作EP『Pressure Field』は刺激的なのに耳障りが心地よく、攻撃的な部分とアンビエントの要素がどちらも反映されているように感じました。制作において、何か参考になった作品はありますか?
ー なんだろう... Aphex Twin『Syro』かな。90年代のエイフェックスも大好きなんですけど、『Syro』で復活してからの、ちょっと大人になって、音質も良くなったのにエッジは失っていない感じには影響を受けてますね。単純に90年代の音だけをやっちゃうと、ノスタルジアになってしまう気がして。今のオーディオのクオリティで、あの頃やっていた音を更に突き詰める感じがカッコよくて、音響的に鳴らすと、こういう感じになるんだ、みたいなのは参考にしてます。他にもOPNの『Age Of』とか他の作品もそうですが、彼がコンセプトとして、どういうことを考えているのか、とかはすごく参考になりますね。あとは、ブリアルの曲名のつけ方も個人的にすごく影響を受けてます。
〈On-U Sound〉からは、Dub Syndicate『Stoned Immaculate』をピックアップして頂きました。
ー これはね、単純にカッコいい...。ジャケからして、もう最高!って感じです。タイトル曲「Stoned Immaculate」が一番好きかなぁ。やっぱり〈On-U Sound〉は、エイドリアン・シャーウッドが最後に整えてくれる、このクオリティがあるのがすごく好きで、他のレゲエ・ダブ関連のレーベルには無いパワーがある気がします。ピンチ (Pinch) との共作も好きで、世代は違う同志の二人がタッグを組んだ、みたいなところが良いですね。
Sherwood & Pinch『Late Night Endless』や『Man Vs. Sofa』も、Aphex Twin『Syro』と通ずる部分を感じます。
ー そうそう。現代のテクノロジーで制作された、あの感じというか。
やっぱり、90年代ぐらいまでのモニター・スピーカーとかって、あんまり上下 が綺麗に聴こえない。そうした環境が良くなったり、Pro Toolsとかも使いやすくなったりして、ブラッシュアップされた時代にこういう音楽があると、単純に耳にすごくありがたくて大好きです。
そうした制作現場での技術の向上は、ミルさん自身の制作にも影響しましたか?
ー いや、僕が音楽を作り始めた頃には、それなりに出揃っていたので。
むしろ、ここ5〜6年ぐらいはアナログシンセとか、アナログのドラムマシンに傾倒しています。単純に技術様式が違うので、コンピュータのプラグインでアナログを模したものはあるけど、扱い方やインターフェースの違いとか、それによるシンセサイザーとの相互作用も違うし、実際の出音も全然違いますね。昔の機材はおもしろいです。録音する環境はモダンなので、新しい事ができるか色々とトライしてます。それこそOPNとかも、80年代の変なシンセをディグってきたり、ロレンツォ・センニ (Lorenzo Senni) も90年代のトランスのシンセをディグったり、エイフェックスも。みんな、それぞれのシグネチャー・シンセを探す旅をしているような気がしてます。
新作EP『Pressure Field』を、どういった環境・シチュエーションで聴いて欲しいですか?
ー それぞれの環境の中で一番デカい音で聴いて欲しいです。「音響的な快楽」というか、そういうのを意識して制作したので、ヘッドフォンでも車でも、なんでも良いので負担のない範囲で爆音で聴いて欲しいです。マスタリングにWax Alchemyっていう、MALAとかのダブ・プレートをカッティングしている人にお願いしていて、彼自身もUKに留学して、ナイトメアズ・オン・ワックス (Nightmares On Wax) とか、向こうのダブ / ダブ・ステップを浴びて、くらって、マスタリング・エンジニアを志した人なので、そういう意味でもBEATINKとの親和性がありますね。
この記事を読んでる方には絶対に刺さる作品だと思います。
ー そうですね。僕自身も〈WARP〉や〈Hyperdub〉とか、〈On-U Sound〉に影響を受けて音楽を作っているので、そういう好みの人と出会いたいと思います。自分は元々、ヤイエルとしてBEATINKと関わるようになりましたけど、それ以前からこういう音楽がすごく好きだったので、ようやく自分の作品を通して消化できるようになって、すごく嬉しいし、皆さんに聴いて欲しいと思います。
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BEATINK Listening Space
住所 : 東京都渋谷区神宮前1-12-3 パティオビル Authors Harajuku B1F
開催期間 : 2025年11月1日(土)〜11月30日(日) ***11:00〜20:00(火曜定休)
Instagram :
@beatink_listening_space
X :
@Beatink_LS
大阪で話題を呼んだ「BEATINK Listening Space」
明治神宮・原宿へ場所を移した当会場では、大阪に引き続き「曇りなき正確な音」を極限まで追求するスピーカー・ブランド BWV による極上のリスニング体験が味わえる。もちろん、BEATINKの取り扱う膨大なカタログ〜新譜レコードをはじめ、レーベル・アーティストの特別なアパレルやグッズも週ごとに展開。コラボレーション企画も続々と予定されている。音楽カルチャーを愛する、すべての人に向けた特別な空間が
11月末までの期間限定で、待望の東京上陸を果たした。
大阪開催時に好評だったインタビュー企画も継続し、今回も音楽やカルチャーを横断する多彩なゲストに話を伺っていく...
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Miru Shinoda / 篠田ミル
ヤイエル (yahyel) のメンバーとして国内外での活動をはじめ、多彩なアーティストとの楽曲制作・プロデュースを行う。舞台・映画音楽、ファッションムービーのサウンドデザイン、サウンドアートの領域でも活躍し、2024年には松永拓馬と共にレーベル・プラットフォーム〈ecp〉を設立。他にも「プロテストレイヴ」や「D2021」など、表現活動を通じたアクティビズムを企画・運営。今夏には音楽家の原摩利彦氏と、現地の音源を通したパレスチナ支援プロジェクト「THEY ARE HERE」も始動し、ガザの人びとから提供された音源をもとに編集・ループして構成された作品『Reminder』をリリースしている。加えて、原摩利彦氏とは「二度と再現できない音楽体験」をテーマに、南青山BAROOMにて「A single candle in a darkroom vol.01」を12月に開催予定。
こうした数々のコラボレーションと分野横断的な経験を凝縮し、今年の11月5日には、自身ソロ・デビュー作となる新作EP『Pressure Field』をデジタルでリリース。世代を代表する音楽家にして、シーンを跨いで表現を続けてきた篠田ミル氏の眼差しが刻み込まれている。
instagram : @mirushinoda
X : @shinoda_man
新作EP『Pressure Field』:配信リンク
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新作EP『Pressure Field』を聴いて、BEATINKが扱っている〈WARP〉や〈On-U Sound〉とも通ずる部分があると感じました。篠田ミルさんにとって、インスピレーション源となったアーティストや作品があれば教えてください。
ー BEATINKのもので言うと、プリアル、エイフェックス・ツイン、スクエアプッシャー、オウテカは、すごく影響を受けています。〈On-U Sound〉はスタジオ・テクノロジーとしてのダブについて、もっと勉強しようと思って聴きはじめました。 ディレイとかベースの鳴らし方みたいなところに共感します。他にもKode9は、アーティストとしての活動の仕方を参考にしています。自分も大学院で「サウンド・スタディーズ」という領域を研究して、本を書いたりもしてたのですが、Kode9も元々研究者で、結果的に〈Hyperdub〉というレーベルを立ち上げたりと、ロールモデルとして影響を受けている部分も大きいです。
ミルさん自身も、コロナ禍の「#SaveOurSpace」や、サウンドデモの「プロテストレイヴ」をはじめ、様々な活動をされてますね。Kode9のように、アーティストの音楽作品以外の活動についてもチェックされてますか?
ー そうですね。それこそブライアン・イーノとか、彼のアクティビストとしての側面だったり、プロデュースワークを手広くやる感じとか、本人の音とか音楽に対する思考のあり方や、「Oblique Strategies」みたいなカードを作ったりとかも、めちゃくちゃインスパイアされてますね。
それでは、実際に「BEATINK Listening Space」でピックアップして頂いた作品について伺いたいと思います。
まずは、Aphex Twin『Selected Ambient Works Volume II』について教えてください。
ー これは、好きというか...。言わずと知れた名盤だと思うんですが、名盤として知って、聴いてみて、最初よくわからない系の代表格な気がしていて。僕もそれで、ずっと聴いてるんですけど、絶対途中で寝ちゃうんですよね。何回聴いても途中で寝ちゃうなぁ...と。そういう付き合い方を、かれこれ10何年もしている作品で。
イーノが 80年代前後に「アンビエント」っていう概念を提唱して、 一度、波が落ち着いて眠っていたところを、またKLFとかが出てきて。90年代のレイブカルチャーに対するカウンターとして、アンビエントみたいなものが見出されていったような。その中でも『Selected Ambient Works Volume II』は、変なオジサンの、このトンチキなアンビエントとして、謎があって、この作品についての書籍も出ていたり、とにかく研究しがいがある作品で、折に触れては聴いてますね。
Autechre『Amber』についてはいかがでしょうか?
ー この作品も、同じ匂いを感じるんですけど、オウテカって初期の頃はこの作品に代表されるような、メランコリックだったりセンチメンタルな部分があって、そういうオウテカの側面がすごく好きです。中でも「Yulquen」って曲が特に好きで、7分間ぐらいの曲だったと思うんですが、同じメロディーのループをMIDIか何かでアナログシンセに送って、それをディレイとか色々いじりながら展開して。最先端のオウテカもずっと追っていて好きなんですが、愛しているのはこの頃のオウテカかもしれません。アナログシンセの使い方とかも、自分の作品にも活きてくるというか...頻繁に聴いてます。
エレクトロニックな分野への入り口は、こうしたアンビエント的な作品からですか?
ー 逆ですね。攻撃的な〈WARP〉の作品がめっちゃ好きです。それこそエイフェックス、スクエアプッシャーもオウテカも、彼らの露悪的なぐらいの攻撃性が好きで、すごく影響を受けています。ただ、自分の作品を作る中で、ずっと攻撃的なものを聞いていると飽きてくるというか...。制作していると、時には無限に聴かなきゃいけないので、なんか疲れるなぁと。それで、だんだんと〈WARP〉のアーティストのアンビエントな側面に興味が湧くようになりました。
〈WARP〉の攻撃的なところや、コンセプト上の「ワルガキ感」というか、ちょっとシニカルな感じがあって。それこそOPN (Oneohtrix Point Never) もそうですが、エレクトロニック以外のスクイッドやバトルスにもそういう部分を感じますし、ちょっと人をおちょくってる感じが一貫してあって、そういう姿勢にも影響を受けているように感じます。
個人的な感想にはなりますが、ミルさんの新作EP『Pressure Field』は刺激的なのに耳障りが心地よく、攻撃的な部分とアンビエントの要素がどちらも反映されているように感じました。制作において、何か参考になった作品はありますか?
ー なんだろう... Aphex Twin『Syro』かな。90年代のエイフェックスも大好きなんですけど、『Syro』で復活してからの、ちょっと大人になって、音質も良くなったのにエッジは失っていない感じには影響を受けてますね。単純に90年代の音だけをやっちゃうと、ノスタルジアになってしまう気がして。今のオーディオのクオリティで、あの頃やっていた音を更に突き詰める感じがカッコよくて、音響的に鳴らすと、こういう感じになるんだ、みたいなのは参考にしてます。他にもOPNの『Age Of』とか他の作品もそうですが、彼がコンセプトとして、どういうことを考えているのか、とかはすごく参考になりますね。あとは、ブリアルの曲名のつけ方も個人的にすごく影響を受けてます。
〈On-U Sound〉からは、Dub Syndicate『Stoned Immaculate』をピックアップして頂きました。
ー これはね、単純にカッコいい...。ジャケからして、もう最高!って感じです。タイトル曲「Stoned Immaculate」が一番好きかなぁ。やっぱり〈On-U Sound〉は、エイドリアン・シャーウッドが最後に整えてくれる、このクオリティがあるのがすごく好きで、他のレゲエ・ダブ関連のレーベルには無いパワーがある気がします。ピンチ (Pinch) との共作も好きで、世代は違う同志の二人がタッグを組んだ、みたいなところが良いですね。
Sherwood & Pinch『Late Night Endless』や『Man Vs. Sofa』も、Aphex Twin『Syro』と通ずる部分を感じます。
ー そうそう。現代のテクノロジーで制作された、あの感じというか。
やっぱり、90年代ぐらいまでのモニター・スピーカーとかって、あんまり上下 が綺麗に聴こえない。そうした環境が良くなったり、Pro Toolsとかも使いやすくなったりして、ブラッシュアップされた時代にこういう音楽があると、単純に耳にすごくありがたくて大好きです。
そうした制作現場での技術の向上は、ミルさん自身の制作にも影響しましたか?
ー いや、僕が音楽を作り始めた頃には、それなりに出揃っていたので。
むしろ、ここ5〜6年ぐらいはアナログシンセとか、アナログのドラムマシンに傾倒しています。単純に技術様式が違うので、コンピュータのプラグインでアナログを模したものはあるけど、扱い方やインターフェースの違いとか、それによるシンセサイザーとの相互作用も違うし、実際の出音も全然違いますね。昔の機材はおもしろいです。録音する環境はモダンなので、新しい事ができるか色々とトライしてます。それこそOPNとかも、80年代の変なシンセをディグってきたり、ロレンツォ・センニ (Lorenzo Senni) も90年代のトランスのシンセをディグったり、エイフェックスも。みんな、それぞれのシグネチャー・シンセを探す旅をしているような気がしてます。
新作EP『Pressure Field』を、どういった環境・シチュエーションで聴いて欲しいですか?
ー それぞれの環境の中で一番デカい音で聴いて欲しいです。「音響的な快楽」というか、そういうのを意識して制作したので、ヘッドフォンでも車でも、なんでも良いので負担のない範囲で爆音で聴いて欲しいです。マスタリングにWax Alchemyっていう、MALAとかのダブ・プレートをカッティングしている人にお願いしていて、彼自身もUKに留学して、ナイトメアズ・オン・ワックス (Nightmares On Wax) とか、向こうのダブ / ダブ・ステップを浴びて、くらって、マスタリング・エンジニアを志した人なので、そういう意味でもBEATINKとの親和性がありますね。
この記事を読んでる方には絶対に刺さる作品だと思います。
ー そうですね。僕自身も〈WARP〉や〈Hyperdub〉とか、〈On-U Sound〉に影響を受けて音楽を作っているので、そういう好みの人と出会いたいと思います。自分は元々、ヤイエルとしてBEATINKと関わるようになりましたけど、それ以前からこういう音楽がすごく好きだったので、ようやく自分の作品を通して消化できるようになって、すごく嬉しいし、皆さんに聴いて欲しいと思います。
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BEATINK Listening Space
住所 : 東京都渋谷区神宮前1-12-3 パティオビル Authors Harajuku B1F
開催期間 : 2025年11月1日(土)〜11月30日(日) ***11:00〜20:00(火曜定休)
Instagram : @beatink_listening_space
X : @Beatink_LS