Photo by Kazma Kobayashi
昼過ぎから滝のように降っていた雨が止み、WHITE STAGEを取り巻くムードが程よくウェットになったPM8:00前。アンダーワールドが流れるUKダンス仕様のステージにバリー・キャント・スウィムの面々が登場した。「面々」というのには訳がある。ジョシュア・スペンス・マイニーのソロプロジェクトであるバリー・キャント・スウィム、なんと今回のフジロックに向けたライブセットを組むと来日前のインタビューで答えており、これがそのお披露目となるのだ。
アラートのようなシンセサイザーが観客のアテンションを引きつける「The Person You’d Like To Be」から幕を開けると、バリーはギターのアルペジオでフレーズを重ね、両端に配置されているドラムとシンセサイザーが合流する。その物々しい迫力に、WHITE STAGEの観客たちが息を呑みながらも身体を揺らし始める。本国イギリスでの公演をはじめライブセットはこれまでに数回ほど披露していたが、ストリングスもコーラスも参加していないソリッドな構成は珍しい。そしてシームレスに「About To Begin」へと接続、開放的な四つ打ちへのごく自然な移行の流れ一つを取ってもこのライブセットの完成度が伺える。
トライバルなタム捌きから繋ぐ「Dance Of The Crab」を経由して軽快なディスコチューン「Kimbara」に到着した頃には、既にWHITE STAGEの熱気が高揚しきっていた。デビューして間もないにも関わらず、既にクラシックの風格が漂うバリーの楽曲群。本国イギリスで無数のクラバーが踊り明かしてきた熱がキックを伝って苗場にも直輸入されているかのようだ。フレンチハウス風味の「Blackpool Boulevard」ではバリーによるキーボードプレイが光る。抒情的なピアニストというより、リズムに対してスクエアに音符を投下していく冷静なプレイが楽曲に自在な色を与えていく。
つい二週間前にリリースされたばかりの最新作『Loner』からの楽曲を中心に据えたセットにも関わらず、ずっと触れていたような親しみを覚えるのはなぜだろう。ミニマムなテックハウス「Kimpton」では水泡の運動する様にインスパイアリングされたかのようなVJでオーディエンスの神経を研ぎ澄まし、硬いキックがひたすらに打ち付ける「Still Riding」では真緑の光線を放射。真後ろの森に投影されたレーザーが8の字型の紋様を形作り、後ろを振り返ったオーディエンスから歓声が上がる瞬間もあった。ミニマムとマキシマムを交互に行き来しながらも、どこかハートフルなハーモニーが両者の橋渡しを担うことにより、ステップを止めることなく没入できる体験こそ、このライブセットの真髄だ。
ストイックな「Different」から多幸感のある声ネタのリフレインがこだまする「Deadbeat Gospel」で完全にフロアが茹だると、3人はトドメと言わんばかりに代名詞とも言える「Sunsleeper」をドロップ。バリーはこれまた軽妙にピアノソロを弾きこなし、光に満ちたステージを洒脱に演出。もちろん観客たちはエネルギーを振り絞るように踊り尽くし、1時間とは思えないほどの濃密なUK式ダンスタイムが幕を閉じた。
Text by 風間一慶
フジロック会場で完売したTシャツも受注生産受付中!
Barry Can’t Swim|バリー・キャント・スウィム
出演:7/26 (SAT) FUJI ROCK FESTIVAL - WHITE STAGE
Cosmic Music T-Shirt WHITE (税込 ¥5,500)
予約リンク:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15217
Cosmic Music T-Shirt BLACK (税込 ¥5,500)
予約リンク:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15218
昼過ぎから滝のように降っていた雨が止み、WHITE STAGEを取り巻くムードが程よくウェットになったPM8:00前。アンダーワールドが流れるUKダンス仕様のステージにバリー・キャント・スウィムの面々が登場した。「面々」というのには訳がある。ジョシュア・スペンス・マイニーのソロプロジェクトであるバリー・キャント・スウィム、なんと今回のフジロックに向けたライブセットを組むと来日前のインタビューで答えており、これがそのお披露目となるのだ。
アラートのようなシンセサイザーが観客のアテンションを引きつける「The Person You’d Like To Be」から幕を開けると、バリーはギターのアルペジオでフレーズを重ね、両端に配置されているドラムとシンセサイザーが合流する。その物々しい迫力に、WHITE STAGEの観客たちが息を呑みながらも身体を揺らし始める。本国イギリスでの公演をはじめライブセットはこれまでに数回ほど披露していたが、ストリングスもコーラスも参加していないソリッドな構成は珍しい。そしてシームレスに「About To Begin」へと接続、開放的な四つ打ちへのごく自然な移行の流れ一つを取ってもこのライブセットの完成度が伺える。
トライバルなタム捌きから繋ぐ「Dance Of The Crab」を経由して軽快なディスコチューン「Kimbara」に到着した頃には、既にWHITE STAGEの熱気が高揚しきっていた。デビューして間もないにも関わらず、既にクラシックの風格が漂うバリーの楽曲群。本国イギリスで無数のクラバーが踊り明かしてきた熱がキックを伝って苗場にも直輸入されているかのようだ。フレンチハウス風味の「Blackpool Boulevard」ではバリーによるキーボードプレイが光る。抒情的なピアニストというより、リズムに対してスクエアに音符を投下していく冷静なプレイが楽曲に自在な色を与えていく。
つい二週間前にリリースされたばかりの最新作『Loner』からの楽曲を中心に据えたセットにも関わらず、ずっと触れていたような親しみを覚えるのはなぜだろう。ミニマムなテックハウス「Kimpton」では水泡の運動する様にインスパイアリングされたかのようなVJでオーディエンスの神経を研ぎ澄まし、硬いキックがひたすらに打ち付ける「Still Riding」では真緑の光線を放射。真後ろの森に投影されたレーザーが8の字型の紋様を形作り、後ろを振り返ったオーディエンスから歓声が上がる瞬間もあった。ミニマムとマキシマムを交互に行き来しながらも、どこかハートフルなハーモニーが両者の橋渡しを担うことにより、ステップを止めることなく没入できる体験こそ、このライブセットの真髄だ。
ストイックな「Different」から多幸感のある声ネタのリフレインがこだまする「Deadbeat Gospel」で完全にフロアが茹だると、3人はトドメと言わんばかりに代名詞とも言える「Sunsleeper」をドロップ。バリーはこれまた軽妙にピアノソロを弾きこなし、光に満ちたステージを洒脱に演出。もちろん観客たちはエネルギーを振り絞るように踊り尽くし、1時間とは思えないほどの濃密なUK式ダンスタイムが幕を閉じた。
Text by 風間一慶
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Barry Can’t Swim|バリー・キャント・スウィム
出演:7/26 (SAT) FUJI ROCK FESTIVAL - WHITE STAGE
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