the shader
agraph
RELEASE: 2025-08-27
『ピンポン』『チェンソーマン』『ダンダダン』など
数々の大ヒットアニメの劇伴を手がける音楽家・牛尾憲輔。
彼のソロユニット、agraphによる入手困難の重要作が
新帯デザインで待望の再リリース!
音楽家・劇伴作家として活躍する牛尾憲輔によるソロユニット、agraphの3rdアルバム『the shader』(2016年)が、新帯デザインにて待望の再リリース!
デビュー以来、日本のエレクトロニック・シーンにおいて、緻密なサウンドデザインと繊細なアンビエント・テクスチャで独自の世界を築いてきたagraph。本作『the shader』はその集大成とも言える内容で、ポストクラブ以降の音楽を再定義する傑作として高く評価された。
またリリース以降、牛尾憲輔は『聲の形』』『チェンソーマン』『ダンダダン』『チ。』など数々の話題作で劇伴を担当。国内外で高い評価を確立し、サウンドトラック・コンポーザーとしても確固たる地位を築いた。 さらに2025年3月には、NHK BS「プロフェッショナル 仕事の流儀」で特集されるなど注目がさらに高まり、音楽誌での特集や「牛尾憲輔映画祭」の開催など、映像音楽の最前線を担う存在としての評価を決定づけた。
今作『the shader』は、さながら電子音の大聖堂のようであり、あらゆる技工を凝らし精緻で多様な意匠を盛り込んで人々を圧倒しようとした17世紀の建築様式になぞらえるなら、“バロック・エレクトロニックミュージック”とでも言うべき驚くべき作品である。
時として寄せては返す複雑な倍音構成の大波の繊細さは言うに及ばず、何も進行していないのではないかと思える瞬間にも、無駄と思われる音の粒子は何一つ存在せず、聴くたびに各シーンで新しい発見が待ち構えている。
牛尾憲輔という一個人が、この気の遠くなるような細かいコントロールを全て行っていることに対して沸き起こる畏敬の念を、是非一聴の上確認していただきたい。
agraphの新作を聴いて、おそらくは本人が思っていた以上に長い時間がかかったことが、しかと音の端々に刻み込まれている、そう思った。
そしてその結果として、これはタイムレスな作品になっていると思う。
最先端の電子音楽、というよりも、過去百年にも及ぶ音楽の実験と洗練の歴史が、独特なかたちで響き合っている。
たとえばブライアン・イーノの幾つかの作品が、あるいはスティーヴ・ライヒの幾つかの楽曲が、そうであるように、このアルバムもまた、十年後に聴いても、二十年後に聴いても、五十年後に聴かれたとしても、ある絶対的な新鮮さを放ち続けているに違いない。
ー 佐々木敦