Songs for Nina and Johanna
James Yorkston & Friends
RELEASE: 2025.08.22
『Songs for Nina and Johanna』は、James Yorkstonによる美しい新作アルバムであり、Dominoからの16作目、そしてThe Second Hand Orchestraのメンバーと共にストックホルムで録音した3作目となる。前作『The Great White Sea Eagle』でも共演し、批評家から高く評価されたNina Persson(The Cardigans)は、今作ではJohanna Söderberg(First Aid Kit)と共にヴォーカルを担当。Perssonは5曲、Söderbergは4曲で、それぞれYorkstonと個別に歌声を重ねている。
20年以上にわたり作品を発表してきたアーティストが、新たなアルバムにどう向き合うのか? James Yorkstonの場合、大切なものに焦点を当てている。すなわち、このアルバムは家族、愛、そして親であることをテーマにした楽曲たちで構成されている。彼は優しく繊細な旋律を紡ぎながら、時に舞い上がり、時に滑空するようなメロディを描き出す。そして、結果として彼の傍らにはスウェーデンを代表する2人の女性ヴォーカリストが並んでいるのだ。「偉大なスウェーデンの歌声を持つ二人と歌えるチャンスなんて、逃すはずがないよ。Johannaが加わるという案が出た時は、迷わず飛びついた。NinaとJohannaは互いを引き立て合い、決して競い合わない。そして僕自身は……できる限り彼女たちの邪魔をしないように、彼女たちが自分の感性で楽曲を解釈できるよう、空間を与えるように心がけたんだ。」
レコーディングは2024年1月、ストックホルムのStudio Rymdenでスタート。スタジオのオーナーであり共同プロデューサーでもあるDaniel Bengtsonが録音を取り仕切った。The Second Hand OrchestraのリーダーであるKarl Jonas Winqvistが急病により録音の大半に参加できなくなったため、本作ではバンド名を冠さないことが合意された。それでも、ギタリストのPeter Morén(Peter Bjorn and John)、ヴァイオリニストのUllis Gyllenberg、そして熱量あふれるサックス奏者のLina Langendorfといった、バンドのメンバーや関係者が多数参加。前作にも参加していたドラマーのLars Skoglundも再び名を連ねている。
「今回は、なるべく構造的で秩序だった雰囲気を目指して、前作よりも混沌とした空気にならないよう心がけた」とBengtsonは語る。「Jamesは非常に明確なビジョンを持っていて、それが録音に参加する誰にとっても、必要な感情を捉える助けになる。結果として、雰囲気に満ちた、非常に生産的なセッションになったんだ」。YorkstonもBengtsonがスタジオに作り出す空気を称賛する。「僕にとってスタジオとは、あらゆるアイデアを試すことができ、それぞれがちゃんと時間を与えられる場所。音楽家がアイデアを提案しても、それが真剣に受け止められ、検討されると信じられる場所なんだ。Danielは、その開かれた空気感を理解し、実際に作り出してくれる。」
前作での即興性とは対照的に、『Songs for Nina and Johanna』のレコーディングは、より構造的なアプローチで進められた。「今回はJamesがいくつかデモを送ってくれたし、アルバムに対する明確な意図が感じられた」とMorénは語る。前作と同様に、Yorkstonはギターではなくピアノで複数の曲を書いた。「彼はギタリストとしての方がずっと腕があるけれど、ピアノにおける不器用さがクールなスタイルになっていて、アルバムのトーンを決定づけていた」とBengtsonは話す。楽曲の骨組みが整ったところで、録音は一気に本格化。「ほとんどの曲を、みんなで同じ部屋で、同時にライブ録音した。ものすごく集中した空間だった。その場のエネルギーはアルバムにしっかり記録されていて、後から再現するのは不可能なものだったの。正しいテイクが録れた時のあの感じは、本当に素晴らしい」とSöderbergは振り返る。
アルバム『Songs for Nina and Johanna』の最初のきっかけは、YorkstonとPerssonのデュオとしての広範なツアー中に生まれた楽曲「With Me, With You」だった。「ツアー中に演奏しながら練り上げることができた。録音前に曲を育てるのは気持ちよかったわ」とPerssonは話す。Yorkstonとの声の相性が抜群な彼女だが、彼の曲を自分のものにしようとは考えていないという。「私は自分のことをストーリーテラーや役者のように考えている。主体になるのではなく、この形式の中では職人として関わることを楽しんでいるの。」