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ウィリアム・オニェイバーについて知られていることは少ない。そして、それこそが彼の望むところなのだ。
もちろん、彼のことを耳にする機会はあるかもしれない。たとえば、彼が暮らすナイジェリア東部の田舎町エヌグに行けば。森の奥に隠された宮殿に住む彼は、自身のイボ族の村では戴冠されたハイ・チーフ(高位の首長)であり、地域社会の調停者でもある。彼はまた、ナイジェリアの活気あるクリスチャン音楽シーンを盛り上げることにも喜びを感じている。つまり、彼は「隠れて」いるわけではない。しかし、1980年代の混乱期にエヌグの若者たちの間でスターとなったその音楽に、彼は背を向けたのだ。
いったい何が、人に過去を捨てさせるのだろうか?
ウィリアム・オニェイバーは影響力ある人物だ。それでも彼は、謎めいた存在であり続ける道を選んだ。まるで、自身の絶頂期にあった彼が、若き日の仕事を意図的に忘れようとしているかのようだ……それは、刺すようなアフロ・ファンク、くすぐるようなワウギター、火を吹くようなジャズ・シンセのキーボード、宇宙船を思わせるシンセ・ラン、ヘリウムを吸ったようなコーラスがジングルのように舞い踊る——そんな、遠い星々のチューニング音のような響き。そして、初期の電子ドラムマシンがドラマーたちを魅了し始めた頃に感じられた、あの特別なノスタルジーのサウンドをも。