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STARCRAWLER / 音の暴走列車=スタークローラーが渋谷を直撃!ロックンロールの興奮と血糊にまみれた完全無欠のパフォーマンス。昨夜の東京公演最速レポート公開!

2018.03.07

STARCRAWLER / 音の暴走列車=スタークローラーが渋谷を直撃!ロックンロールの興奮と血糊にまみれた完全無欠のパフォーマンス。昨夜の東京公演最速レポート公開!

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STARCRAWLER / 音の暴走列車=スタークローラーが渋谷を直撃!ロックンロールの興奮と血糊にまみれた完全無欠のパフォーマンス。昨夜の東京公演最速レポート公開!

もう音源では満足できないカラダになってしまった。というか、我々はスタークローラーの本当の魅力を、100分の1もわかっていなかったのかもしれない。超満員のオーディエンスに迎えられたジャパン・ツアーの初日、渋谷チェルシーホテルで行われたスタークローラーのライヴには、ロックンロールがもたらす興奮や初期衝動、ゾクゾクするようなカッコよさ、親には見せられないエロさと禍々しさ、そのすべてが渾然一体となって吹き荒れていたのだ。

まず、オープニングからして完璧。バンドのメンズ・チーム=ヘンリー・キャッシュ(ギター)、ティム・フランコ(ベース)、オースティン・スミス(ドラムス)がぞろぞろとステージに現れてラフに爆音を鳴らし始めたかと思えば、それが次第に「Castaway」(※「I Love LA」の7インチB面に収録)のイントロを形作っていき、気づいた時には尋常ならざる威圧感を放つアロウ・デ・ワイルド(ヴォーカル)が、ステージ中央でブリッジをかましているというイリュージョン。全身白で統一された衣装が、ヘアマニキュアで真っ赤に染まった髪の毛と美しい顔立ちを引き立てる。

次に、バンドの連帯感が凄まじい。2曲目の「Used to Know」では、オーディエンスを煽るようにヘンリーが音源の1.5倍増しのスピードでリフを叩きつけるのだが、それに余裕綽々で喰らいつくリズム隊のお陰で、破綻スレスレのスリルが気持ちいいほどのグルーヴを生んでいく。アロウとヘンリーが1本のマイクをシェアする「Love's Gone Again」のコーラスなんて、まるで70年代のパティ・スミスとレニー・ケイみたいだ。そもそも、ストゥージズやらランナウェイズやらクランプスやら様々なバンドを引き合いに出される彼らだが、ライヴにおけるロックンロール博覧会状態は音源の比ではなく、ザ・フーのピート・タウンゼントばりに腕をぶんぶんと振り回すヘンリーのプレイには、思わずニヤリとしたロック・ファンも少なくないだろう。

そして、病的なまでにスレンダーなアロウのカリスマ性/表現力/オーラが半端じゃない。エルトン・ジョンも太鼓判を押した名曲「Ants」ではステージをところ狭しと駆けずり回りながらシャウトし、イントロ一発でフロアが沸騰したアンセム「I Love LA」においてはキュートな笑顔でコール&レスポンスを要求、ゴリゴリのリフとビートで突進していく「Different Angles」では口に含んだ水をプロレスラーばりに噴射して、極めつけには「Train」でトレードマークの血糊を顔面に塗りたくる始末。目玉をひん剥いてフロアを凝視するその顔芸はもはやホラー映画の領域で、子どもなら間違いなくトラウマ認定である(最前列のお客さんの口に指を突っ込んでいたという怪情報も)。彼女の一挙手一投足を収めようと、終始あちこちでスマホが掲げられている光景もなかなか壮観だったし、母親で写真家のオータム・デ・ワイルドがアロウを溺愛するのも頷ける。

デビュー・アルバム『Starcrawler』のクロージングも飾る「What I Want」で本編を終えると、アンコールに応えたヘンリーがこの日唯一のMCを担当。「これで最後の曲だよ。終演後は物販のコーナーでサインもするから、よかったら会いに来てね!」と告げて、ブラック・サバス直系の重く引きずるイントロが印象的な「Chicken Woman」を、なぜかAC/DCの「Thunderstruck」のリフを交えつつ披露してみせる。ベースのリフを合図に終盤で急加速するナンバーとしてお馴染みだが、ここで遂にアロウがステージ・ダイヴを決行! 彼女に続けと言わんばかりに、シャツがはだけまくりでほぼ半裸のヘンリーもフロアへと飛び込み、鏡張りの壁によじ登ってリズム隊とセッションを開始(アロウはいつの間にか消えてました……)。アンコール込みで約40分と短い時間ではあったが、最終的にヘンリーのギターは弦が2〜3本しか残っていなかったそうだし、音の暴走列車のごとき完全無欠のパフォーマンスでツアー初日を締めくくった。個人的にも、「ロックンロールってこんなに格好よかったっけ?」と思い出させてくれるような一夜だった。

スタークローラーは今夜も渋谷O-nest でのソールド・アウト公演を行った後、名古屋・大阪・京都を怒涛の勢いで駆け抜ける。おそらく、彼らがキャパ300人以下の小箱をまわるのは今回が最初で最後だし、早くも伝説認定のライヴとなりつつあることは、SNSでライヴ体験者(掟ポルシェさん含む)の感想をチェックしてもらえればわかるだろう。6月にはあのフー・ファイターズの指名で、英ロンドン・スタジアム公演(キャパ6万人規模!)の前座も努めるというロックンロールの未来=スタークローラー。まさにこれから黄金期を迎えようとする彼らの勇姿を、しかとその目に焼き付けてもらいたい。


Text by Kohei UENO
Photo by 古渓一道 / Kazumichi Kokei

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