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Index > Events > Autechre 2010 > オウテカ (ショーン・ブース) インタビュー |

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オウテカのショーン・ブースに来日直前インタビュー!
-「かなりの自信作であり、サウンド的に完璧にデザインされている。」と以前発言していたほど、自分たちでも高く評価していた『Oversteps』。周りの反応はいかがですか?「理解されるまでに時間がかかる作品だ」ともおっしゃっていましたが。
Sean Booth:
「『Oversteps』の評判は驚くほどいいよ。クロスオーヴァー・アルバムだってよく言われてる。UKのミッドウィーク・チャートにも入ったしね。俺たちにとってはかなり珍しいことだよ。チャートに入るなんて95年以来だからね。キャリアの後期でこういう反応を受けるのは不思議なことのようにも思う。もちろん素晴らしいことだよ。予想を遥かに上回るリアクションだね。ある意味オウテカらしくないアルバムでもあったから、みんなに受け入れられないんじゃないかと思ってたくらいなんだ。それとは全く反対の反応が返ってきたから、逆にショッキングだったよ(笑)」
- それでは、ツアーの状況はいかがですか?
Sean Booth:
「ライヴは『Oversteps』とはまったく違うんだ。今のライヴ・セットはどっちかというと、より『Move Of Ten』に近いかな。どういうことかと言うと、前回のツアーが終わった後、次の音楽を作り始めるためのシステム作りに着手したんだけど、初期の段階で作ったトラックのほとんどが『Oversteps』に収録されることになったんだ。次にライヴ用にシステムに修正を加えていった。ハードウェアもスタジオで使っていたのと違うものを用意したりね。そのライヴ用のセットアップと、もともとのスタジオのセットアップのコンビネーションになっているのがこの『Move Of Ten』なんだよ。ライヴ・レコードっていうわけじゃない。ライヴ用に作ったシステム上で作ったトラックってことだね。話せば長くなるんだけど、一つの作品にしたときに、うまくまとまったね。聴いたときにちゃんとフィットしたよ。実はアルバムを最終的にコンパイルしたときに、『Move Of Ten』も同時にコンパイルしたんだ。」
-『Quaristice』の時期に行ったツアーと現在のツアーでは、ライブ・セットの中に何らかの違いは反映されているのでしょうか?
Sean Booth:
「もちろん。ライヴ・セットはよりオープンになってる。前回来日したときのライヴ・セットは、けっこう固定されてる部分が多かった。異なるパターンを用意していて、それらを様々な方法で組み合わせたりしながら違いを作っていったんだ。それにサウンドも変えることができた。基本的に一つのパターン自体は固定されてるんだけど、サウンドは変更可能で、パターンの組み合わせも自由に変えることができた。だから実際色々できたわけなんだけど、今回のライヴ・セットは、さらにそのパターン自体に変更を加えることができるんだ。だから状況に合わせてビートもその場で変えられるし、気に入ったサウンドを見つけたらそれをつまんでそこに変化を加えることだってできる。よりオープンエンドなセットってことかな。だからこのセットを使ったライヴの方が、より多くのバリエーションを得られる傾向があるね。出てきたサウンドに対してコントロールできる部分が多いから、アイディアを瞬間的に反映することができるし、そのシチュエーションに対する俺たちのリアクションを瞬時にサウンドに反映することができる。クラブみたいに人が踊りに来るような場所には最適のライヴ・セットだよ。」
-『Oversteps』リリース時のインタビューで(ロブが)「シンプルにすること、ビートを少なくすることは意図的だった。そこが美の象徴であり、スペースを残す事でアイディアをより豊かに表現できたと思う」と発言していましたが、会場に足を運ぶオーディエンスも『Oversteps』の世界観がどのように表現されるのか気になっていると思います。いかがでしょうか?
Sean Booth:
「ライヴはまた違ってくると思う。ライヴの醍醐味はオーディエンスをある意味プッシュすることだと思うんだ。ライヴって物理的な体験だし、レコードを作るときのスタンスとはまた違ったものになる。『Move Of Ten』は特定のシーンやジャンルに当てはめることのできないものだと思うし、DJが誰でもかけられるものじゃないと思うんだ。とにかく自分の信念を反映させて、好きなことを突き詰めるのがレコード制作。ライヴは、最高のシチュエーションを思い浮かべながらプレイするんだけど、それは必ずしもレコード制作中に想像する環境とは限らないんだ。それより自分がクラブに行ったときに聴きたい音楽をプレイする感覚に近いね。サウンドシステムも最高で、オーディエンスも最高ってシチュエーションを思い浮かべる。だから完璧を求めるというよりは、俺たち自身のためにDJしている感覚っていうのかな。もちろんそれは俺たちの主観ってことになるんだけど。」
-「『Oversteps』の曲をプレイする、『Move Of Ten』の曲をプレイする」というわけではないんですね?
Sean Booth:
「そういうことだね。すべてが新しいものになる。そうしたい理由は、俺たちが音楽を作り始めたとき、つまりコンピュータなんてなかったときは、2チャンネルでライヴ録りで納得いくまで録音し続けるか、たくさんのチャンネルを駆使して、レイヤーを重ねていくかの二つしかなかった。だから最初にライヴをする機会があったとき、すごく複雑な曲をかけて、まるでライヴしているようなふりをするか、シンプルな曲をかけて実際にライヴでそれをいじくるかを考えたんだけど、後者の方が明らかに良く思えた。何時間も、何日も、時には何週間もかけて作り上げた楽曲をライヴでプレイするのは、見せかけのパフォーマンスなんだよ。もちろん今ならAbleton Liveみたいなソフトで、完成した曲をライヴでいじくって気持ちを入れ込むことができるけど、シンプルな曲をベースに生で様々な形へと変化させていくことの方が魅力的なんだ。ライヴ・セットはあくまでも“ライヴ(生)”を見せる機会っていう意識を持ってる。だから最初に決めることは、実はどの機材を持っていくかなんだ。そしてその環境の中で何を生み出すかなんだよ。」
- 今回のライブでオーディエンスに対する“実験”的な部分は考えていたりするのでしょうか?
Sean Booth:
「似たような点を考慮するよ。ただ今回はパターンというより、骨格となるパーツをいろいろ用意していて状況に応じてそれらを引き出していくことになる。毎回ライヴ後にそれらのパーツに修正を加えていくことになるんだ(笑) ライヴがどう始まるかはあらかじめ想定できないからね。もちろん経験や知識が、どうやって自分たちの音楽をオーディエンスにイントロデュースしていくかを決める手助けにはなる。でも最初の曲は、ゴチャゴチャしたものになる傾向が強い。そこから一種類のキックと一種類のスネアだけのシンプルなビートにつながっていくことが多いかな。そしてそこからいろんな方向に展開させていくんだ。ドライヴするときもいきなり最高速度には持ってかないだろ?(笑)
- 今回のディファ有明でのパフォーマンスも、日本のファンの中では既にお馴染となった“漆黒の闇”の中で行われると思いますが、映像を取り入れたりすることは考えていないのでしょうか?
Sean Booth:
暗闇のパフォーマンスのイメージが当たり前になってきてるのも実は好ましくないんだけど、使いたいと思えるほどのヴィジュアルにまだ出会えてないんだよ。でもその出会いを待ってるのは間違いない。いつかライヴにヴィジュアルの要素も取り込めたらと思うんだけど、俺たちはこだわりが強いからね。音楽と同じくらいビデオ・アートにも長く携わっているからさ。だから何かできる自信はあるんだけど、クラブVJには飽き飽きしてるし、中には音に反応させて色や形が変わるものもあるけど、それでアートをクリエイトしてるって感覚に陥ってる態度が嫌なんだよ。もちろんクラブVJすべてを否定してるわけじゃないよ。中には素晴らしい人たちもいる。新しいテクノロジーが出てくるとみんなそれに飛びついて、完璧に間違った使い方をしてる。音楽もそうだね。ほとんどのIDMに言えることだよ。新しいプラグインが開発されたら、みんながまったく同じ方向に変化してく。俺はもっと根っこの部分を見たいんだ。そういう意味では暗闇は音に立体感を与えてくれて、前方のステージから聴こえる感覚というより、音に囲まれる感覚を生み出してくれる。その感覚を強めるヴィジュアルって今のところ存在しないと思うんだよね。
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