exclusive Interview インタビュー


Interview Text : 南波 一海

スコットランドはグラスゴー出身の新世代ビート・メイカー、ハドソン・モホーク。世界中で隆盛を見せるエレクトロニック・ヒップホップ/ビート・ミュージックシーン。その第一線に突如として躍り出たワープの超新星だ。『バター』リリース時に行ったインタビューをここに掲載。音楽を始めたきっかけや、意外にもヒップホップ・ビート一辺倒ではなかったアルバムについて、そして今回のライヴ・パフォーマンスについて。

—音楽家となるきっかけになったような、初めて意識した音楽は何だったでしょうか? 「僕が小さい時に父親がスコットランドでラジオショーをやっていて、アメリカの音楽をよくかけていたんだ。その影響が大きいかな。9歳か10歳ぐらいだったか、昔の彼の番組のテープとかをよく聞いていたんだ。あと90年代初頭のジャングルやレイヴ音楽をよく聞いていたよ。年上のいとこがいて、彼からテープをもらったりしてかなり影響を受けたね。90年代のヒップホップとか、オールドスクールなソウルとかね。名前を挙げるほどでもないと思うんだ、今僕が作っている音とはかけ離れているし、僕に影響を与えた音楽はたくさんある。D.I.T.C.、DJプレミアにハマってたし、アース・ウィンド・アンド・ファイヤーとかオールドソウルとかも一緒に聴いてたからね」 —楽器演奏の特別な教育などは受けていましたか? 「全然。キーボードとドラムは演奏するけど、基本は自分で学んだよ。ドラムを学校でやっていたこともあるけど別に大したクラスでもなかったし、特別な教育は受けてないよ。自分で楽器を手にして遊んでたぐらいかな」 —『バター』は初のフルアルバムということで心掛けたことはありますか? 「あるよ。過去はビート寄りなトラックを作っていたんだけど、アルバムを制作することで、更にソングライティングという曲作りを意識してみた。僕が好きな様々な音楽のスタイルを一つに凝縮したかったんだ。結構難しくて時間がかかった。もしかしたらそんなに費やさなくても良かったのかもしれないけど、結局1年以上時間を費やしてしまったよ。色々な局面を見せたかったんだ」 —世界各地を回ることでどんなフィードバックがありましたか? それは作品作りに影響を及ぼしましたか? 「影響したとも言えるけど、客を喜ばせるためにアルバムを作っているわけじゃないから。僕はポップ・アルバムを作りたかったけど、別に客に受け入れやすい、聴きやすいポップ・ミュージックという意味ではないからね。興味深いポップ・ミュージックにしたかった。ライヴ演奏していると、お客さんから色々な意見をもらうことで、自分も一番のインパクトを与えるようなベストな力を出したりはするけど、アルバムはそれだけにしたくなかった。影響を受けたとも言えるかもしれないけど、作品作りの時には敢えてフィードバックは聞かないようにしているよ」 —『バター』では「Trykk」や「Rising 5」など、生ドラムのようなサウンドが確認できます。このドラムスは生演奏なのでしょうか?また、生っぽいドラム・サウンドを取り入れたのは何故でしょうか? 「半分半分だね。生演奏もあるけど、ドラムセットで叩いてないところもある。生演奏のドラムはこれから僕が更に開拓していかなくてはいけないところだね。ヒップホップ・ミュージックで既にプログラムされているドラムに親しんでいたし、たまにヒップホップに生のドラムを入れるとその雰囲気が逆に壊れる事もあるから、両方取り入れてみた。ハードなサウンドも出せるけど、ヒップホップみたいにグルーヴィーなサウンドもキープできるからね」

Hudson Mohawke Hudson Mohawke


—メロディ・ラインがとても美しい曲が多いと思います。ビート・ミュージックにおけるメロディの重要性はどのように考えていますか? 「メロディはとても重要だよ。最近のビート・ミュージックというかすべての現代音楽に対して、コード進行とかあまり開拓されていないような気がするんだ。メロディは常に好きだった。背筋に震えがくるようなメロディとかあるだろ、そういうのが好きだった。それも表現したかったし、美しいメロディ・ラインの音楽なんて最近あまり聞いてないだろ」 —ピッチの高い声やチョップなど、声の使い方に非常に特徴がありますが、これはどういったアイデアから生まれたものなのでしょうか? 「それはレイヴ・ミュージックと90年代のヒップホップの融合から来てるかな。ピート・ロックやDJプレミアなどを聴いていたことからヴォーカル・チョップに影響を受けたけど、そこにレイヴ・サウンドも取り入れてそれが更に広がりを生んだ」 —エディットやレイヤーが緻密で、一曲ごとにかかる時間が膨大な印象を受けます。最も困難で時間がかかった曲、最もスムーズに制作できた曲はどの曲ですか?また、その理由は何でしょう? 「緻密に聞こえるかもしれないけど、一曲に時間をかけるのは嫌いなんだ。細かい事を調整する為に時間をかけてると、曲全体のフィーリングを失うからね。僕の音楽に関しては、曲を作り始めて20〜30分で最初の良いアイデアが浮かんだら、とりあえず曲をそのまま放置するんだ。その時点で更に細かい部分まで緻密にこだわると音楽の実質そのものを失うからね。「Fuse」が最もスムーズだったけど、ヴォーカル曲の「Joy Fantastic」は結構時間がかかった。「Black n  Red」もかな。ドラム・サウンドに結構時間がかかったし、小さな音のパートにやけに時間がかかったり、全体のサウンドのバランスを取るためにかなり手を加えたからね。そんなに時間的な差はないけど、その2曲が一番時間がかかったかな」 —緻密な一方で、馬鹿馬鹿しさや楽しさ、ユーモアも大切な要素だと見受けましたが、いかがでしょう? 「正しいね。EPを聞いた時に多くの人が単なるギャグかと思ったみたい。EPを聴いた時に多くの人が単なるギャグかと思ったみたい。楽しさやユーモアは音楽には必要だと思うけど全てがギャグじゃないんだよ。それだけな音楽だって思われるのは嫌だし。楽しい作品にしたいし、そうやって何かを感じてくれるのは嬉しいけど、結局自分の音楽は自分のものだからね。別に緻密さは自然にそうなっただけで、それがメイン要素でもないし、そのようにデザインしたわけでもない。予想不可能な楽しい音楽を作ろうと思ったらこうなった。パーティ・バイブスも取り入れてね」 —前回の来日公演ではThe Isley Brothersの「Between the sheets」とKelisの「Millionaire」をプレイしていたことがとても印象的でした。本作のヴォーカル曲でも80年代のクラシカルなR&Bと最近のプログレッシヴなR&Bのどちらの要素もあると思いました。古いR&Bと新しいR&Bは作品作りにどのくらいの影響を及ぼしていますか? 「そうだね(笑)、80年代のR&Bには影響をうけたね。現代のR&Bも好きだけど、メロディに関してはさっきも言ったけど、あまり良い曲というのは生まれていない気がする。やはり70〜80年代のR&Bにはまったく違うレベルの音楽が誕生していたと思う。だからそれをうまく自分の曲の中で表現したかった。あとミュージシャンシップとしての要素を電子音楽に取り入れたかったんだ」 —早くも二度目の来日が実現します。どんなことが期待できますか? 「新しいライヴ・セットを今仕込んでいるところ。レコードの音をダンス・フロア用に仕込んでいる。エディット作業をたくさんしながら新しい要素なんか取り入れたりね。ビジュアルも今仕込んでいるよ。ようやくアートワークが仕上がったから、その素材も駆使してカッコいいビジュアルになると思うよ」

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Hudson Mohawke
フライング・ロータスと双璧をなす、<ワープ>のネクスト・ステージを代表する若干23歳の要注意アーティスト。フライング・ロータスを中心としたL.Aの「Low End Theory」周辺の新世代ビート・シーンと共鳴しながら、活況を呈するグラスゴーのビート・シーンだが、その最右翼となるのがこのハドソン・モホークだ。
12歳でプレイステーションでビートを作り始め、14歳でDMCのファイナリストとなる。この早熟な23歳が今年2月にリリースしたEP 『POLYFOLK DANCE』は瞬く間に評判となり、ビート・ジャンキーだけでなく、エド・バンガーのオーナーであるビジーPことペドロ・ウィンターやクルッカーズ、ザ・マーズ・ヴォルタ等、他ジャンルのプロデューザーやアーティスト達からも熱い視線を浴びている。
そして来日を目前に控える10月には、世界が渇望するデビュー・アルバム『BUTTER』をリリース。4月のクラーク来日公演にサポート・アクトとして出演した際に披露した、DJ /ターンテーブリストとして、エレクトロニック、ヒップホップ、レイヴ・ミュージック、テクノ、ハウスなど、様々なスタイルを一つのストーリーにまとめ上げていく、激しく、ソウルフルなDJプレイは必見!ドープに攻めるフライング・ロータスとは対とも言える、キラキラしたビートの洪水に興味は高まるばかりだ。
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Releases


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Hudson Mohawke / Butter

Released : '09.10.10 Butter BRC243 (国内盤CD)
WARPCD188 (輸入盤CD)
WARPLP188 (輸入盤LP)


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Hudson Mohawke / Polyfolk Dance

Released : '09.02.04 Polyfolk Dance BRWAP261 (輸入盤CD+オビ)
WAP261CD (輸入盤CD)
WAP261 (輸入盤12")


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