Finkの新作『Distance Ant Time』の中で、特に際立つトラックの一つである「Little Blue Malebox」は、壮大な叙事詩的ナンバー。そのサウンドは、リスナーの手を優しくとり、優雅で美しい嵐の中へ導き、最後には家にまで送り届けてくれる。すると、まわりの物すべてが一変してしまったように感じさせる。
賞賛されたデビューアルバム『Biscuits For Breakfast』に、サウンド面と構成面のさらなる進化を加えた「Little Blue Mailbox」は、洗練された完璧な楽曲であり、その完成度の高さは他のトラックにも広がっている。しかしその秘めた強烈さと、ドラマティックな詩の結末は、似たようなソフトなヴォーカルのシンガー・ソングライターとはまったくレベルが違うということを証明している。
Bサイドでは、同じく『Distance Ant Time』に収録された「Blueberry Pancakes」を聴くことができる。このトラックは、ある少年がウェイトレスと出会い、ベッドをともにし、関係を長続きさせるが、すべてがうまく行かなくなっていく、という印象的で力強く、また荒々しいナンバーだ。Finkは、恋愛関係が下り坂になると、誰もが頭を悩ませる偶発的なディテールを素晴らしく表現できるアーティストである。それでいて、曲の力強さが欠けてしまうことがないのだ。この7モにはKraftwerkの「TheModel」のダブ・フォーク・バージョンという驚きのカバーも含まれている。