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Live Report2015.01.29

TYCHO JAPAN TOUR - LIVE REPORT - 2015.01.29 TSUTAYA O-EAST



TYCHO JAPAN TOUR 2015
淡いノスタルジーが染みついたエレクトロニカをベースとしながらも、アンビエント、チルウェイヴ、ポスト・ロックとも共振するサウンドで熱心なファンを増やしてきたTycho。元々は、グラフィック・デザイナーでもあるScott Hansenのソロ・プロジェクトだったが、最新作『Awake』からライヴのサポート・メンバーだったZac BrownとRory O’connorが加入し、3人組のバンドへと生まれ変わっている(今回の来日は4人編成)。「これが本当のファースト・アルバム」とScottが言う通り、『Awake』を機に第二のスタートを切ったTychoだが、初のジャパン・ツアー初日、1,300人を収容するTSUTAYA O-EASTがソールドアウトとなった東京公演は、まさにそんな「バンド」としてのダイナミズムをまざまざと見せつける力強いライヴだった。

開演前から一階&二階の後ろまでぎっしりとオーディエンスが詰まったO-EAST。そこにまずは、Tychoと親交が深く、同じオーディオ・ヴィジュアル・アーティストでもあるChristopher Willitsがサポート・アクトとして登場する。ゆったりと波打つアンビエンスと、霧雨のように降り注ぐ粒子の細かい音のシャワー。そして、キラキラと乱反射する水面や木洩れ日の様子を捉えた映像は神秘的な美しさを湛えていて、サウンドと溶け合うように調和している。40分ほどの短いステージではあったものの、夢とうつつの間を彷徨うみたいな心地よさは十分に堪能できた。

TYCHO JAPAN TOUR 2015

TYCHO JAPAN TOUR 2015


そして、いよいよ本日の主役であるTychoが登場。バンド体制では初録音だった『Awake』は過去作よりもソリッドでクリア、かつダイナミックなサウンドを打ち出していたが、ライヴではその感触が一層強まっている。Tychoと言えばBoards of Canadaも引き合いに出されるノスタルジックな上モノのメロディという印象が強いものの(そしてそれは今も変わらぬ魅力なのだが)、この日のステージを引っ張っているのは明らかにリズム隊だ。ずっしりと土台を支えるラウドなベースに、ビシバシと刻まれるビート。特に、縦ノリのジャストなタイム感でパワフルに叩きまくるドラムはオーディエンスの目耳を問答無用に惹きつける。今のTychoのライヴは、アンビエントやエレクトロニカやチルアウト・ミュージックを内包したロックに近い――と言ってもおかしくはないだろう。

TYCHO JAPAN TOUR 2015

TYCHO JAPAN TOUR 2015


もちろん、Tychoのライヴには欠かせない映像表現も強く印象に残った。チルウェイヴとの緩やかな共振を見せた前作『Dive』は水平線に浮かぶ夕日、アメリカ西部をツアーで周った時の感覚を表現したかったという『Awake』では(おそらく)荒涼とした大地に照りつける太陽をモチーフにしたアートワークをデザインしていたScottだが、今回の映像はそれらのイメージを拡張したようなものが中心。音と互いに補完し合いながらTychoの世界観を立体的に伝える表現となっており、近年少なくない取ってつけたようなオーディオ・ヴィジュアル・セットとは一線を画する完成度だった。やはりそこはグラフィック・デザイナーでありミュージシャンでもあるScottの面目躍如といったところだろう。

引き出しの奥にそっとしまっておいた懐かしい写真のように胸を締めつける美しさは通奏低音として流れていながらも、バンド・サウンドの魅力を明確に打ち出してみせた今回のライヴ。「第二のスタート」を切ってから間もないTychoだが、現在の編成での充実期を早くも迎えていることがありありと感じられた。
(小林祥晴)

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