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FUJI ROCK FESTIVAL '17 LIVE REPORT

あの興奮が再び!
ビートインク関連アーティストのフジロック・ライブレポ第一弾が到着!

今年は小雨に始まり、晴れ間も見せながら、雨の1日もあり、山間での開催であるフジロックらしい4日間、
延べ125,000人もの音楽好きが集まりました。
その中でも注目を集めたビート関連アーティストのライブレポの第一弾がアップ!
ステージの熱い興奮をお伝え致します。

第一弾アーティスト:
Aphex Twin(Day2:Green Stage) / The xx(Day1:Green Stage)
Queens of the Stone Age(Day1:White Stage) / yahyel(Day1:Red Marquee)
Thundercat(Day3:Field of Heaven) / Sampha(Day1:Red Marquee)

Aphex Twin
DAY2 @ Green Stage

Aphex Twin
 エイフェックス・ツインの会場限定カセット販売されているーー昼過ぎにテントの中で接したこの情報に、すぐにテントを飛び出さず、またもやエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェームズ伝説が更新されたのかと、少し冷静になって考え込んでしまった。そんな少しだけ複雑な思いを抱えながら、夜のグリーン・ステージに彼が登場するを待つ。だが、彼が登場し、インダストリアルな感触を持ったノイズを鳴らし始めた瞬間、さっき抱いていた妙な思いは一瞬で吹き飛んでしまった。冒頭の10分だけで、彼が今やっていることに決して打算などないということがはっきりと感じられる。
 さらに彼は、凄まじい出音のもとで、ポリゴン・ウィンドウ名義での「Clissold 101」を交えつつ、徐々にBPMを上げながら、ズタズタにビートを切り刻んだブレイクコアやアシッド感満載のハードなエレクトロなどを投下し、緊張感を持ちつつ奇妙なグルーヴを構築していく。こんなスリリングな展開がずっと続くのかとある種の恐怖さえも感じたが、そんな中で『Selected Ambient Works 85-92』を想起させる、朴訥としたメランコリックな旋律を持った、EOD(リチャードが運営していたレーベル、〈リフレックス〉からもシングルをリリースしている)によるアンビエント・テクノ「Swurlk」がかかったときは、まるで夢見心地のような気分であった。だが、それも束の間、再び容赦なく重心の低いジャングルやドリルンベース、テクノのビートが襲いかかってくる。この流れはこの日の豪雨も相まって、まるで彼のEP『On』を今の彼の感覚で再現しているようにも感じられたのは気のせいだろうか。そんなサウンドと同期するかのように展開されるヴィジュアル・コラボレーターのWeirdcoreによる日本の現代社会の一側面を過剰なユーモアと共に見事に切り取ったヴィジュアル・ワークによって、更に我々聴衆は奇怪なダンスの沼へと誘われていったのだ。
 そして、終盤に差し掛かるころには今までの攻撃的なビートが、それを上回る音圧で出されるレイヤードされた轟音のノイズに呑み込まれていき、最後の10分は完全に凶暴な電子ノイズだけがグリーン・ステージを支配していた。こんな光景なかなか観れるものではないと恍惚感に浸っていると、突然音とほぼ同時に映像、照明がブツッと切れ、辺りは真っ暗に。こんな終わり方も彼らしいように思える。他者に迎合せず、不規則な電子音と戯れながら披露された、そんなこの日のパフォーマンスは、どんな言葉を並べても陳腐に思えてしまうほど圧倒的だった。やはりエイフェックス・ツインの眼差しは、過去でも未来でもなく、ひたすらに現在に向けられている。まるで今を掌握せんとするがごとく。
(坂本哲哉/TURN)

>> Aphex Twin artist page




The xx
DAY1 @ Green Stage

The xx
 前回のホワイトステージのヘッドライナーから4年。今年リリースされたアルバム『I See You』が全英で1位、全米でも2位を獲得し、世界各国のビッグフェスにも相次いで出演を果たしている。どうグリーンというステージでThe xxの世界を表現してくれるのか。サウンドだけではなく、ライティングや3人のステージングによって、どんな空気感に包まれるのか。そんな興味を抱いてのライブだった。
 ステージの上は驚くほどにシンプル。ギターやベースのアンプもなければ、モニタースピーカーもない。サウンドもステージと同じように音数が少ない。徹底的に絞り込んで、3人を表現するために最低限に残ったものがこのミニマルなサウンドなのだろう。メロディもサウンドも美しい。リズムさえ美しいと感じられる。音と音の間にある隙間さえ美しい。ライティングも、その美しさを引き出すように演出されていた。
 オープニングの「Intro」からラストの「Angels」までおよそ65分のライブ。新作にかたよるわけでもなく、旧作とのバランスも良かった。時間を経ていくにつれ、The xxの音が身体に染み込んでいって満たされていく。音や光に優しく包まれていくという感覚に近いかもしれない。ジェイミーのソロの曲である「Loud Places」でのDJタイム以外、激しく踊るわけでもない。いつの間にか、The xxの音と光に、そこにいたすべての人が、そして苗場の自然も同化していた。
 ジェイミー。オリヴァー、ロミーの3人の音を聞いているうちに、ステージのシンプルさが意味することも伝わってきた。既存のライブショーではなく、できる限り自分たちのスタイルで表現したいという表れだったのに違いない。革新的でありオリジナリティのあるバンドスタイルでのライブ。それはロックという伝統と未来をつなぐものなのかもしれない。よりスケールアップし進化を遂げているThe xx。3人のバランスから構築されていくライブという時間。今年のThe xxの世界観を作りあげるのには、フジロックのなかでは夜のグリーンが最適のシチュエーションだった。
(菊地崇)

>> The xx artist page




Queens Of The Stone Age
DAY1 @ White Stage

Queens Of The Stone Age
 記念すべき初来日となった2002年のフジロック・フェスティバルから15年ぶり、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジがついに苗場の地へと帰ってきた。
 ずっと日本でのライヴを待ち望み続けていたオーディエンスは、オープニングを飾る「You Think I Ain't Worth a Dollar, But I Feel Like a Millionaire」のイントロが鳴り響いた瞬間から一気にテンションMAX。続いてなだれ込んだ「No One Knows」のイントロでは、リフ・パートの大合唱も巻き起こる。
 前回出演時にはフー・ファイターズのデイヴ・グロールがドラムを叩いたが、もともと構成員が固定しない形態での活動を標榜しているだけに、その後15年の間にメンバーは何度も入れ替わった。今度の来日に残っているのは、中心メンバーであるジョシュ・オムの他に、トロイ・ヴァン・リューエン(ex. ア・パーフェクト・サークル)のみ。とはいえ、2007年から在籍しているディーン・フェルティータ(ザ・デッド・ウェザー)とマイケル・シューマン(ミニ・マンションズ/ワイヤーズ・オン・ファイア)に、2013年からジョン・セオドア(ex. ザ・マーズ・ヴォルタ)が加わった布陣は、現在のQOTSAが、より“バンド”としての一体感を強めたモードにある様子をうかがわせる。実際、少し長めに引っ張って演奏された「Misfit Love」や、セオドアの強力なドラム・プレイが炸裂する「A Song for the Dead」など、現ラインナップによる演奏は、レコード以上のキレ/爆発力/カッコよさを見せつけてくれた。  ジョシュは膝を痛めており、ステージに杖をついての登場となったが、コンディションの悪さは微塵も感じさせない、圧倒的なヴォーカルとギターを聴かせ、さらには長い手足をぐにゃぐにゃと揺らすダンスも頻繁に披露。その勇姿からは、長らく日本で演奏できなかったことに対する埋め合わせをしたいという気概が伝わってきた。
 マーク・ロンソンをプロデューサーに迎えた最新アルバム『ヴィランズ』(8月25日発売)からは、先行公開された「The Way You Used To Do」を披露。こちらも素晴らしい作品になっているので、どうか順調に膝を回復させ、次は新作の収録曲を中心にした日本でのワンマンライヴを実現してくれることを心から願っている。
(鈴木喜之)

>> Queens Of The Stone Age artist page




yahyel
DAY1 @ Red Marquee

yahyel
 時として宗教儀式のような荘厳さを纏いながら、徐々にそのヴェールを剥がしていくかのごとく、内側のマグマのような熱気を外へ外へと発していく。その背後には、太陽系の彼方の風景のような、人間の体内の内臓の動きのような、細胞分裂を描き出したかのような、抽象的かつ示唆的な美を伴った映像…。そして、そのヴィジュアルの逆光にさらされたメンバー5人が黒いシルエットを満員のオーディエンスに見せる…。それは、あたかもその1時間ほど前、黒いマスクをして《GREEN STAGE》に登場したゴリラズのデーモン・アルバーンの意思を引き継いでいるかのようで、ハシゴをしてきた筆者には何かの啓示のようにさえ受け取れたのだった。
 昨年《ROOKIE A GO-GO》に出演したyahyelが、今年は初日金曜日の《RED MARQUEE》の深夜枠《PLANET GROOVE》のトップバッターとして登場した。スモークが幻想的なムードを演出する中、サチモスや宇多田ヒカルの作品も手がけるメンバーのVJ、山田健人によるそうした映像がサウンドと見事にシンクロしながら場内に大きな畝りを表出させていく。これはダンス・ミュージックなのか? 確かにダブ・ステップの要素はある。四つ打ちへの柔軟な対応もあれば、低体温で淡々とリズムを刻んだり、肉感的なトランスを素地にしたような展開も見られる。だが、耽美なゴスやニュー・ウェイヴからの影響もいわんや明快で、彼らのバックグラウンドにある音楽性が、一定のダークネスと美に通底していることを除けば、かなり広範に渡っていることを改めて知らしめるものだったと言っていいだろう。
 それを時折扇情的にもなるヴォーカルの池貝峻が、パーカッシヴな音像を得意とするサンプリング担当の篠田ミル、マットな質感を伴ったドラムの大井一彌、きらびやかで理知的なシンセを操る杉本亘による思いの外フィジカルなアンサンブルと一体となりながら、巨大なエネルギーを放出させていく。彼らが一般的な作家性やアーティスト・エゴを振りかざさないことは知られているが、この日のステージを見る限りでは、アノニマスであることにも、もう、さほどこだわっていないように思えた。自分たちが抱える様々な苦悩とそこにまつわる終末的な美学に陶酔しつつも、諦念と希望の間を行き来することによってカタルシスを得ようとする彼らのスタンスは、いい意味でポップ・ミュージックの持つコントロール不能の本能によるものではないか、と。
 圧巻は、昨年のファースト・アルバム『Flesh and Blood』に続いて発表された新曲「Iron」。天井を突き抜けさせようと高く高くファルセットを轟かせる池貝の表情こそ、逆光で読み取ることはできなかったが、どこか恍惚の笑みを浮かべているようにさえ見えた。生きている、脈動している5人の生命体の生々しい輝きがそこにあった。
(岡村詩野/TURN)

>> yahyel artist page




Thundercat
DAY3 @ Field Of Heaven

Thundercat
サンダーキャットがフジロックのステージに立った。自身のリーダー作『Drunk』のブレイクだけでなく、ベーシストとし、そして、ヴォーカリストとして、ケンドリック・ラマーやマック・ミラー、ウィズ・カリファなどに起用されてきたLAジャズシーンの最重要人物が降り立ったのは、昨年、同じくLAジャズシーンをけん引するサックス奏者カマシ・ワシントンが大きな話題になったフィールド・オブ・ヘヴンのトリとしてだった。
近年のツアーでの定番となっている鍵盤奏者のデニス・ハムとドラマーのジャスティン・ブラウンとのトリオという最小編成だが、そのサウンドはとてもたった3人とは到底思えないものだ。
まるでギターを弾くようにメロディアスにベースを弾きつつ、時にベースラインに切り替えながら、楽曲を先導するサンダーキャット。その横ではデニス・ハムが複数のキーボードを操り、サンダーキャットが奏でるメロディーの伴奏をしたと思えば、サンダーキャットがベースラインを奏でた時には、それに合わせて右手でメロディーを弾く。時折、左手のシンセベースでベースラインを担当し、サンダーキャットとの役割をスイッチしたりもする。かと思えば、サンダーキャットがメロディーラインを弾きながら、残りの指で同時にベースラインも奏でて、一つのベースで二人分の演奏をしてみせたりもする。その後ろではジャスティン・ブラウンが淡々と変拍子&ポリリズムを叩き続けている。と、とにかくテクニカルなのだが、演奏はひたすらにフレキシブルで、柔軟で、ずーーっと超絶な即興演奏を繰り返しているのは変わらないが、その中では常に個々の役割や意味が変化し続けていて、飽きさせないというのは衝撃的だ。
そんな彼らのサウンドはフジロックという最高の場で奇跡的な輝きを見せた。サンダーキャットの音楽が持っているビートミュージックやフュージョンやヒップホップなどから影響をうけたサウンドは、その手数の多さや演奏のスピード感を忘れさせてしまうくらいに、あまりにやわらかく、まるで観客を、夜の苗場の山々を包み込むように響き渡っていた。サンダーキャットの甘くメロウな歌声や、6弦ベースの角の取れたまろやかな音色が、コズミックで、スペイシーで、スピリチュアルに空中に放たれ、その音がどこまでも伸びていくように、どこまでも広がっていくように感じられた。サンダーキャットがベースの音色や質感に込めている意味や魅力をここまで感じられたライブを僕は知らない。この日のステージは彼の音楽が持つ魅力を最大限に体感することができる夢のような時間だったのかもしれない。僕はサンダーキャットの優しい棘とスウィートな毒にやられて、すっかり酩酊してしまった。
(柳樂光隆/Jazz The New Chapter)

>> Thundercat artist page




Sampha
DAY1 @ Red Marquee

yahyel
 シルキーな歌声と自らの内面を映し出しているような儚くも美しいメロディ。それらは確かにサンファの大いなる魅力である。それは前回の来日時に披露した、ピアノの弾き語りをメインにしたライヴでまざまざと感じとることができた。だが、フジロック初日、グリーン・ステージでジ・エックス・エックスが素晴らしいライヴを披露した直後のレッド・マーキーでサンファがみせたパフォーマンスは我々の予想を遥かに超えるほど、アグレッシヴだった。そしてそれは、サンファというアーティストの全貌が、鮮烈なほどにくっきりと映し出されたパフォーマンスであったのだ。
 ドラムやパーカッション、シンセ、ドラムパッドなどを操る、全員が白装束という出で立ちの3人のバンド・メンバーを引き連れて登場したサンファ。オープニングはしっとりとした「Plastic 100℃」から始まり、中盤で彼の繊細なピアノ弾き語りによる「(No One Knows Me)Like the Piano」が鳴り響くころには、静謐なアンビエント・ソウル/R&Bによるサウンド・スペースが生み出されていた。ここまでの展開は、彼の歌声をメインに据え、パーカッションとドラムはやや控えめだったともいえる。だが、その次の「Incomplete Kisses」の途中から、骨太なビートを生み出す生ドラムと複雑にアレンジされたパーカッションを前面に押し出し、それらによってナチュラルに生成されるしなやかなファンク・グルーヴが次第に我々の身体を揺らす。その力強く太いビートの上に乗るサンファの歌声は、アルバムのどこか儚く哀愁を漂わせる歌声とは違い、力強く、エモーショナルに響いてくるのだ。とりわけ最後の、彼が参加したドレイクの「4422」をよりパーカッシヴにアレンジしたヴァージョンから「Blood On Me」の流れは、音源からは想像できないほど情熱的なフィーリングを持ち、我々聴衆に強烈なインパクトを与えたのは間違いない。 
 もしかすると我々はサンファのシンガーとしての側面しかみていなかったのかもしれない。彼は感情を豊かに表現する美しい歌声を持ったシンガーでもあるが、精緻かつ大胆なサウンド・プロダクションを持ったトラックを作るビートメイカーでもあったのだ。そのソウルフルな歌声と強靭なビートを持ったトラックが、メランコリックで優美なメロディと一体になる彼のライヴ。そこには情熱的なソウル・ミュージックが展開される音響空間が創出され、我々は心を揺さぶられるのだ。それこそが、サンファが最も表現したかったことなのかもしれない。
(坂本哲哉/TURN)

>> Sampha artist page




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